相談室ファミリアによせられる知的障がい者のお悩みの一つに
「大学に通えないので、高等学校を卒業後、すぐに就労のことを考えなくてはならない。」
というようなものがあります。
障害者であるかどうかを問わず、そもそも高校を卒業した直後にすぐに働くということは難しいものです。
大学生活のなかでいろいろな経験をし、アルバイトをはじめとして社会を経験することで就職に備えることがほとんどですよね。
そんな知的障害者のお悩みを解決するために、障害者のための4年生福祉事業型専攻大学が帯広で設立されたと聞き、お話を伺いにいきました。
福祉型大学を経営している。
帯広市西3条南38丁目1-7の株式会社しんかーず
法人本部統括マネージャー 松下長正さん
福祉型大学の見学の前に株式会社しんかーず様の事業を見学
配食サービス事業について説明していただきました。
おいしいお弁当の宅配サービス。
地域の方々に管理栄養士さんの栄養管理指導の下、バランス良くお食事できる献立を毎日日替わりでお届けしているとこのことです。そういった日々の献立にくわえて、イベントや冠婚葬祭用のお弁当の配達も行っています。
(もちろんアレルギーや禁止食材等についても細かく対応!)
特に自身で調理をすることが難しいご高齢の方への配食サービスは、見守りサービスを兼ねることにもなります。
この配食サービス事業を障害者の就労支援としても行っていて、受注・調理・梱包・発送などほとんどの工程を障害者がこなしています。
その手際はとてもよく、ひとりひとりがプロフェッショナルとして働いている様子が窺えました。
ステップアップや昇給の仕組みも明確になっていて、うえのステップにいる人たちの様子を視覚的にとらえて、目標とする仕事の完成度をイメージをしやすくしているとのことです。
一般的にはどうしても誰かに支えられるイメージの強い障害者の方々がご高齢の方を支えるこの事業。地域にも大きく貢献しているようです。
この事業をつくっていく上で、とくに重要視したことのひとつ、「収益性」についてのお話をお聞きしました。
「障害者がつくったものだからボランティアとして買う」
当然間違ったことではないのですが、就労支援として本当に訓練になるのはそういった慈悲の心で収益をあげるものではなく、真に人の役に立ち価値のあるもの、すなわち障害者が携わっていることとは関係なく、ひとつの事業として成立しているものでなければならないのではないかということでした。
しんかーずさんが「株式会社」として法人化していることもそういった理由がひとつとしてあげられるようです。
当相談室としても障害者の自立についてのあるべき姿について模索しているところ、ひとつ就労支援のケースとして、とても勉強になりました。
※ 大学見学編はまた後
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