親権者による未成年障害者の任意後見契約について

親権者による未成年障害者の任意後見契約についての注意点

任意後見契約とは?

簡単に言うと、成年後見制度における成年後見人を家庭裁判所による選任ではなく、契約の中で委任する制度です。

法定成年後見人・任意後見、両者は権限などに微妙に差異がありますが、基本的にはほぼ同じ働きをすることが可能です。

任意後見契約と他制度の比較

・契約の中で後見人を選ぶため、信頼できる人に後見人をお願いできる

(法定成年後見人との比較)

・後見人報酬を当事者間で決めることができる(法定成年後見人との比較)

・財産管理に限らず、施設の入居契約などの身上監護も行うことができる(福祉型信託との比較)

・契約の取消権がない。(法定成年後見人との比較)

 

障害者と任意後見契約

知的障害または精神障害などにより本人の判断能力が不十分な場合、民法上の意思能力・行為能力が認められず、契約行為ができないことがほとんどです。

それは任意後見契約においても同様であり、知的障害者・精神障害者は自身で任意後見契約を結ぶことができません。

未成年障害者と任意後見契約とは?

その中で、知的障害者や精神障害者が任意後見契約を利用することはできないのでしょうか。

方法としては、障害者が未成年であれば親が親権に基づいて、子を代理することによって任意後見契約を締結することができると考えられています。

しかしその点については学説の対立があります。任意後見契約は親が代わりにできるようなものではないという考えもあり、ほとんど前例がありませんでした。任意後見契約の制度は本人の意思を尊重するべきということを理念としているため、その意思がない、つまり保護を受ける本人自身の自己決定によらない親権による代理によって行うべきではないというのが消極説の主な理由である。それに対して、事実上の必要性を鑑みた際、裁判所で選任した法定成年後見人には任せたくないという要望が強いことから積極説も支持されています。

相談室ファミリアとしては、今後の裁判例などにも着目しつつ、公証人との打ち合わせの結果、現段階においては可能であると考えています。ただし長期間に渡る契約になるため、法改正の傾向や裁判例などには十分に注意を払っております。

成年年齢について

今後の民法改正によって、成年年齢は20歳から18歳に引き下げられます。懸念としては未成年である期間が短くなるために、親権者による任意後見契約という選択肢を失ってしまう可能性が高くなります。その中でさらに注意すべき点は「焦らないこと」です。

たしかに急ぐ必要があると感じやすいところですが、親権者による子の任意後見契約は、その子の一生を大きく左右するものです。まだ時間に少しでも余裕があるのならば、専門家に相談して後見人の選定を含めて慎重に検討すべきと考えます。

未成年障害者の任意後見契約の締結を専門家に相談する際の注意点

未成年障害者の任意後見契約の締結をする際、主に考えうる需要としては、

 

①「本人の兄弟姉妹(きょうだい)など、家族の誰かに後見人になってもらいたい。」

②「信頼できる施設を運営する法人に後見人になってもらいたい。」

 

というようなものが考えられます。

このうち①に関しては、見ず知らずの職業後見人には任せたくないということや、後見人費用を節約したいという考えから、家族間での任意後見契約を希望するケースが考えられます

②に関しては、実生活のうえで介助をするものと、財産管理をするものが同じである方が、本人の状態を常に把握しているものにまとめて任せられるという点から希望するケースが考えられます。

 

一見どちらも有効な手段のようですが、隠れた危険性が存在します。

まず①に関しては、任せた兄弟姉妹などに、後見人としての負担が非常に重くのしかかることが考えられます。

とくに本人の兄弟に関しては、幼いころから心理的・潜在的に兄弟の面倒を見なければならないというプレッシャーを抱えていることや、生活なども本人に合わせた形で送っている場合が多々あります。ここに任意後見契約という形で後見人の立場を確立してしまうと、兄弟自身が自分の人生に大きく制限がかかってしまったように感じてしまうのではないでしょうか。

そうでなくとも後見人としての業務は作業量も多く、財産管理の責任も重くのしかかります。単純に業務としてのストレスも大きくかかります。

これらの事情から本人の成年後などに兄弟から任意後見契約を解除されてしまうというケースや、むしろそのまま兄弟姉妹の人生が大きく制限されてしまうということも考えられます。

 

よって、後見人となるご家族との話し合いを入念にすることはもちろん、両親として本人だけでなく後見人となる家族の人生も一緒に考えてあげていただきたいです。

 

次に②に関しては「利益相反」の可能性が考えられます。施設の運営機関が後見人業務を行う場合、後見人としての立場と施設の運営としての立場は、入居契約の当事者としては対立する立場になり得ます。まずその契約そのものの有効性が争われる可能性が考えられます。また、本来生活を介助する施設側と後見人は相互に監視し合うことができる立場であるところ、その機能も失われてしまいます。

 

これらの問題点は、契約締結そのものには影響しない可能性が高いです。簡単に言えば、公証役場に申請すればそのまま任意後見契約を結ぶことができてしまいます。

とくに障害者の親なきあと問題特有の論点についての見識のない専門家では、相談者に言われるがままにこの任意後見契約を結んでしまうのではないかと危惧しております。もちろんそういった場合でも、公証役場において、その任意後見契約は当然に締結することができてしまいます。

せっかく公証役場で契約を結んでも、十数年後、数十年後に契約面、実務面で不具合が生じる可能性が十分に考えられます。

 

未成年障害者の任意後見契約は長い期間に渡る契約になるので、そういったトラブルが起きないように親なきあと問題の専門機関である相談室ファミリアにご相談ください。

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