The post 「親の会による法人後見」レポート first appeared on 障がい者の親なきあと問題相談室ファミリア.
]]>とある親の会による法人後見のサポートを通して気づいたことをまとめます。
許可をいただいて話せる範囲で記載します。
障がい者の親なきあと問題において
親なきあとに備えて成年後見制度を利用したいと思っているけれども、
後見人や制度そのものへの不安からなかなか利用に踏み込めないという方はよくいらっしゃいます。
そこで、とある親の会においては法人を設立して
その法人で『法人後見業務』を行っていくという試みがなされました。
後見人のなり手自体が少ない中で、チームで後見業務を行える法人が増えるということは
社会にとっても非常に意義のあることだと考えます。
障がいのある子の親同士でグループホーム等の福祉事業所をつくろうとする方もいらっしゃる中、
法人後見を行う法人をつくった例はあまり聞きません。
一概に比較できるものではないのですが、法人後見は福祉事業所のように物件の費用や人件費を用意する必要がなく、コストがほとんどかかりません。
「経営」という面で見たときには、始めやすく続けやすいので、もう少し実例があっても良いように思えます。
(実例がないのは知られていないだけなのか、成年後見制度のイメージが悪いからなのか・・・)
もちろん親の会の皆さんにとっては
法人を設立するということ自体が初めてなのでそこからすでに難しい部分ではあります。
私が親なきあと問題の専門家であり、かつ司法書士であるということもあり
かなり遠方ではあったのですが、諸々のサポートのご依頼をいただいて
設立の段階から二人三脚で進めることになりました。
法人設立からはじまって、成年後見の申し立て、後見業務遂行の上でのご相談など
私が司法書士としてお役に立てる面が多々あり、手続き面は順調に進みました。
細かい部分で成年後見用の損害保険の手配なども、
どの会社が対応してくれるかの知識もあったのでそのあたりもお役に立てたかと思います。
大変そうだった部分は、やはり後見人の業務や責任の部分についての法律の理解についてです。
後見業務がはじまってから実務の中で覚えていくことも多いのですが、最低限のことは後見人の就任前に把握しておくべきでしょう。
書籍や家庭裁判所の提供している動画などから勉強されていたのですが、どうしてもイメージがつかない部分があり、申し立て前に後見業務をなるべく理解するためにも、業務の詳細に関するミーティングは綿密に行いました。
毎年家庭裁判所へ提出する実際の書式例を用いて、
そこから逆算した日常業務のマニュアルつくりや
これまで私が対応に困った後見業務の事例なども共有しつつ理解を深めていきました。
条文に触れながらも説明していったのですが、やはり法律専門職でない方にとっては条文は未知の言語。
皆さん慣れていくのに時間がかかったところでした。
そんな努力の甲斐があってか、家庭裁判所で本件法人を候補者として申し立てた件について、本件法人が無事に後見人になれることに。
家庭裁判所が候補者通りに後見人を選任するかどうかはわからないので、審判がおりるまではドキドキでした。
最初の一件について後見人に就任できると一安心のところです。
その中で後見業務を間違いなく行えれば、家庭裁判所も今後安心して任せてくれるところでしょう。
ちなみに最初の後見人は地域の高齢者の方でした。
親の会のお子さんたちは年齢と現在の生活の中でまだ成年後見の必要がないので、
その子たちに後見人が必要になる時までに、法人として経営上も含めて安定した後見業務を行えるように成長していきたいところです。
親の会による法人後見の最大の壁は、世代交代のタイミングでしょう。
まさに親なきあとのタイミングに備えて、法人の役員・従業員の新陳代謝は長い目で見たときに必ず必要になってきます。
札幌に比べると人口の少ない地域なので、
今後長い目で見たときに若い世代の法人の加入者が
増えてくるかどうかが心配なところです。
ただ、働き口を探されている方も間違いなくいるので、法人としての経営が安定してきて雇用を生めるようにすることで、
解決の選択肢が広がるのではないかとも考えます。
後見業務の性質上、1つの法人のなかで受けられる人数には限界があります。
法人の中で働く方が多い場合は、個人の後見人に比べて対応できる人数が多いはずですが、利益相反の関係や対応できる現実的な距離感を考えると、対応が難しいケースも出てくるでしょう。
つまり法人後見を行う法人は各地域に複数あっても全く問題ありません。
本件の親の会の皆さんの想いとして、今後同じように法人後見を行う親御さんたちの参考になれるようにと、
こういった投稿をすることにご賛同いただきました。
これから法人後見を始める方々のお役に立つことを願います。
札幌でも関わっている医療職による法人後見にもかなりの反響があり、社会的にも法人後見の需要が高まってきていることを実感します。
今後も社会に求められる成年後見人の新しいあり方を追求していきたいところです。
さらなる詳細に興味がある方は個別にご相談ください。長くなりましたがここまで読んでくださってありがとうございます。
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]]>The post 注意!未成年障害者の任意後見契約について first appeared on 障がい者の親なきあと問題相談室ファミリア.
]]>続報:未成年障害者の任意後見契約について 一時期、未成年障害者の任意後見契約がセミナー等であまりにも宣伝されていたことを 当相談室では危惧しておりましたが、本ページ下部のような公証人からの通知が出ました。 ざっくり言うと両親の一方同士で代理し合う場合は特別代理人を立てないと無効だよ、って意味ですね。 『たすき掛け方式の未成年障害者の任意後見契約』とか呼ばれていたみたいです。 このスキームでの契約をしてしまっていた家庭は早めに法律家に相談した方が良いと思います。 家庭裁判所で特別代理人を申し立てる必要があるので、 これからこのスキームでの契約締結は行政書士では依頼を受けられないので要注意。 依頼を受けるとしたら司法書士か弁護士の業務になりそうです。 契約を治癒させる場合も司法書士か弁護士でないと対応が難しそうです。 当相談室からこの契約をすすめたことは一度たりとももないのですが、セカンドオピニオン的に相談にくる方には注意点は伝えておりました。 気になる方はこれからでもご相談してください。 結局、後見人を誰にするかという問題は信頼できる後見人が増えないと解決しないので、 先日案内した『医療者による法人後見』を推進していこうと考えております。 医療者による法人後見 https://oyanakiato-familiar.com/expertise/2252 参考資料 公証人連合会から公証人への通知![]()
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The post 注意!未成年障害者の任意後見契約について first appeared on 障がい者の親なきあと問題相談室ファミリア.
]]>The post 医療職による成年後見 first appeared on 障がい者の親なきあと問題相談室ファミリア.
]]>
The post 医療職による成年後見 first appeared on 障がい者の親なきあと問題相談室ファミリア.
]]>The post 障害者の人権を護る遺言書 first appeared on 障がい者の親なきあと問題相談室ファミリア.
]]>その中で結構深刻な問題だな、と思ったのが障害のある子の相続分に関する権利侵害のことについてなんですよ。
両親の遺言書がない場合、障害のある子が財産を受け取るための相続手続を
成年後見人がつくまでできなくなってしまうことがあるんですよね。
ひとりっこのときと他の相続人がいるケースで説明します。
障害のある子が一人っ子で、他の相続人との遺産分割協議が不要の場合でも
金融機関や法務局の窓口での手続きが本人にとって難しい場合があります。
そういうときは成年後見人を裁判所に選任してもらって相続の手続きを行ってもらうのだけど
成年後見人が選任されるまで結構タイムラグがあったりします。
そもそも本人や福祉事業者の方が相続財産のことを全く気にしていなくて
成年後見人を選任する手続きをずっとやっていなかったってこともあるんですけどね。
で、成年後見人がついていないその間に
親族の誰かが勝手に亡くなった親御さんの財産を使ってしまっていたりするというパターンがあるのですよ。
最近では亡くなったお母さんのご親族が、晩年入院していたお母さんのためにキャッシュカードを預かっていて
そのカードで口座が凍結される前に結構財産をおろしてつかっちゃっていたんですね。
当然横領事件です。
世に相続についての基本的な知識が浸透していないためなのか、親なきあと問題特有のことなのか
割といままでそういう横領事件を見かけてきました。
おそらく親族間のこともあるので表に出さないように処理しているケースもあるかと思うので、
全体として少ない話ではないんじゃないですかね。
他にも、障害のある子にきょうだい(異母兄弟姉妹・異父兄弟姉妹を含む)や甥姪がいるケースで
両親が亡くなったときに相続人全員で遺産分割協議をして遺産分けなければならないところ
なぜか障害のある子本人の知らないところで他の相続人が勝手に遺産を分けて終わらせてしまっていた、なんてことがありました。
当然、障害のある子本人が理解したうえでの承諾のない遺産分割は無効ですし、本人の相続分を侵害して財産を使ってしまうのは犯罪です。
本人の印鑑証明書や実印を勝手につかって手続きをするようなことは、家族とは言え、本人の人権を護るためにすべきことではないです。
いずれのケースにおいても備えること自体は簡単で、
両親が亡くなる前にきちんと【遺言書】をつくっておけば良いのです。
とくに遺言書の内容を実現させる代理人である遺言執行者を遺言書の中で選任しておけば、
本人の負担が少なく、かつ迅速に相続手続きを行うことができます。
他の相続人がいたとしても、遺産分割協議が不要となります。
場合によっては、成年後見人を選任せずとも相続手続を終わらせることもできるでしょう。
(もちろん遺言書の内容に不備がないことが前提です。)
障害のある子以外に相続人が複数いる場合はもちろん、障害のある子が一人っ子の場合でも必ず遺言書はつくっておくべきです。
親なきあと、障害のある子の権利が侵害されるような出来事をこの世から消し去るために、
障害のある子のお父さん・お母さんたち、必ず遺言書をつくっておいてくださいね。
司法書士渡邉護
遺言書作成についての相談も受けつけておりますので、お問い合わせください。
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]]>The post 親なきあと問題にセカンドオピニオンで入ること first appeared on 障がい者の親なきあと問題相談室ファミリア.
]]>ご両親と子どもがお二人の家族で、子どものひとり(妹さん)には障害があり、その子どもは入所施設で生活していました。
その中でお父さんが遺言をのこさずに亡くなり、遺産分割協議による相続の手続きをすることになりました。
(障害者の親なきあと問題と遺言についてはこちらの記事をご覧ください。)
相続の中で、住んでいる自宅不動産がお父さんの名義だったので、その名義をお母さんの名前に変えようとしました。
役所の窓口で必要な手続きや書類を聞いてきて、自分達だけでは手続きを進めようとしたところ
やはり難しく、近隣の司法書士事務所に相談に行かれたそうです。
するとその司法書士からはこんな回答がありました。
「自宅不動産の名義をお母様に移される場合は、妹さんに成年後見人をつけて、不動産の売却金額の4分の1に相当する金額を妹さんに支払う必要があります。」
実際に売却するわけでもないのに、家計から自宅の売却金額の4分の1も支払うということはとても負担が大きいです。
また、妹さんの生活は障害年金さえあれば十分な生活ができ、むしろ大きなお金が妹さんの手元にあっても妹さんにとっても使い道はほとんどありません。実質的には家族のお金の数百万円が妹さんの亡くなるまで使うことができない状態になるということでした。

お母さんは途方に暮れてしまい、何か他の方法はないかと当相談室にご相談にお越しになりました。
そこで、当相談室の司法書士が対応し、とある知識を伝えたところ、とくに自宅不動産の4分の1に相当する金額を払うこともなく、現在もそのまま自宅不動産に住み続けることができています。
その知識の内容はケースによって使える場合とそうでない場合があり、誤解が生じないようにあえてここでは記載しませんが、障がい者の親なきあと問題特有の知識なので知らない専門家も多いようです。
今回も先に相談した司法書士が間違っていた訳ではないのですが、障害のある方が関係する相続はとても難しく、一般の司法書士ですと誤った判断をしてしまったり、知識が足りていないということがあり得ます。
障がいのある方の相続は、専門である親なきあと問題相談室ファミリアにご相談いただくのが間違いないです。
ご自身でなんとかしようとする方も時々いらっしゃいますが、なかなか自分で調べて、自分で手続きを進めたり対策をするのは難しいです。いろいろ振り回されて疲れ果ててようやく当相談室にたどり着くということが多いです。このケースでも役所のアドバイスが間違っていた部分がありました。
ファミリアで勉強会を開催するのも、相談するための知識や親なきあと問題の大枠をとらえてもらうことを目的としていて、ご自身で勉強をしてご自身でなんでもできるようになることを推奨している訳ではありません。
餅は餅屋という言葉もあるとおり、親なきあと問題の対策を確実に進めるためには専門家の力を借りるべきでしょう。
早めに相談することで、とれる手段が広がることも多いです。勇気を出して一歩踏み出してみてもらえればと願っています。
無料相談のお問合わせ・お申込みはこちらからどうぞ。
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]]>The post 任意後見契約・任意後見人の使い方と手続きの流れ first appeared on 障がい者の親なきあと問題相談室ファミリア.
]]>簡潔に言うと、「当事者の意思のもと」財産の管理や難しい契約を代わりにしてくれる人を選ぶ契約というようなものです。
まずもととなる成年後見制度についてですが、詳細についてはこちらの記事をご参照ください。
成年後見人制度とは、判断能力が不十分な方の代わりに本人の財産を管理してくれたり、必要な契約を結んでくれる成年後見人を選任する制度のことです。
本人や親族の申し立てで、家庭裁判所が成年後見人を選任します。
成年後見人制度の大きな難点としては
「後見人が誰になるかは裁判所が選ぶため、本当に信頼できる方が後見人になってもらえるかどうかわからない」という点があります。
これは成年後見制度を利用しようとする多くの方が思い悩むことで、成年後見人と親族との間のトラブルや、対応の悪い成年後見人の話を聞いて、どうしても成年後見人制度を使いたくないという方のお話をよく耳にします。
家庭裁判所が選びたがる司法書士・弁護士等の専門職後見人の横領事件が後を絶たないことも、市民が成年後見人制度の利用に消極的になってしまう理由のひとつなのでしょう。
まとめると成年後見制度の大きな難点である「成年後見人を本人や親族の意思で選べない」
ということに備えられるようにできた契約がこの任意後見契約です。
簡単に言うと、自身の意思能力が衰える前に、契約によって誰を後見人にするのか決めておく契約。
この任意後見契約は後見人を自分の意思で契約によって決めることができます、
「特定の信頼できる誰かに後見人になってもらいたい」
「後見人の報酬について、裁判所に決められた額でなく自身の意思できちんと決めたい」
「自分の財産の内容をよく知らない人には見られたくない」
任意後見契約はこういった方に適した契約手段です。
まず条件として、この任意後見契約も契約であるため、本人の意思能力が必要になります。
この任意後見契約もひとつの契約であるため、任意後見契約を結ぶためにもやはり契約のための十分な判断能力が必要なのです。
ご高齢の方が自身の認知症対策の中で使う場合の任意後見契約も、認知症が進行してしまい、契約を行うだけの判断能力がなければ契約を締結することができません。
よって、重い知的障害や精神障害をあって意思能力が不十分な場合はこの契約を締結することができません。
反面、精神障害などで、「時々」意思能力が不十分になってしまう場合などであれば、意思能力が認められるタイミングで契約を結ぶことができます。
この任意後見契約の締結は公証役場というところで、公証人の立会のもと行う必要があります。公証役場に事前に文案を提出し、日程等の打ち合わせをする必要があるので、基本的には専門家に依頼して進めることになるでしょう。
契約の締結後は、本人の意思能力が不十分になった時点で、後見開始の手続きを行います。この手続きについても公証役場を通じて行います。任意後見業務を開始する際には、「任意後見監督人」を家庭裁判所で選任してもらいます。
任意後見監督人とは、裁判所で選任される監督人で、任意後見人の業務を監督する者のこと。主に弁護士・司法書士などの専門職が行う場合が多いです。
報酬もかかり、本人の財産から支出することになります。
家庭裁判所の示す報酬の目安としては、成年後見人がついた場合の半額程度で、月1万円~となっています。
任意後見人とは違い、任意後見人監督には本人が選ぶことができません。
※任意後見監督人の選任から任意後見が始まるので、任意後見契約の直後に財産管理がはじまるわけではありません。ただし、別途財産の管理を委託する契約を締結することもできますので、すぐに財産の管理が必要であれば財産管理委任契約も一緒に結びましょう。
任意後見人の報酬についてですが、成年後見人が月額2万円~(財産額に応じて増額)となっているところ、任意後見人の報酬は、任意後見契約の中で自由に決めることができます。と、いっても後見人の業務自体もそれなりに負担のあるものなので、親族が任意後見人となるときもある程度の報酬はあっても良いのかもしれません。最終的には当事者間の裁量で決まることでしょう。相場としては、月額5000円~30000円の間で締結することが多いように思います。
任意後見監督人については、裁判所で選任されるので、報酬を契約で定めることはできませんが、月額1万円~(財産額に応じて増額)と裁判所で示しています。
障害者の親なきあと問題において、検討しなければならないのは両親の認知症等です。
「親なきあと問題」の表記が「親亡きあと問題」ではない理由としては、親亡くなった場合だけではなく、認知症等で介護ができなくなってしまった場合も含めて問題になり得ることから、「親なきあと」の記載となっているとのことです。
障害者の親なきあと問題における両親の認知症対策において効力を発揮するのがこの任意後見契約です。
両親の認知症が進行していった場合、両親が自身で自分の財産を管理・処分できなくなってしまう場合があります。そうなると障害のある子と両親が生計をともにしていた場合、一緒に生活が立ち行かなくなってしまうこともあり、両親についても成年後見制度を利用せざるを得ないといった可能性も出てきます。
また、両親のいずれかが亡くなった場合に、財産の凍結を解除するための遺産分割協議をする際も、認知症で遺産分割協議が整わないという心配もなく、任意後見人が遺産分割協議を代理してくれます。
もっとも、認知症対策のために両親が任意後見契約を公証役場で締結するというような場合は、公正証書遺言も一緒につくることがほとんどかと思われますので、遺産分割協議への対策を考える必要性はあまりないかもしれません。
やはり、日常生活に必要な財産の管理・処分を両親ができなくなったことに備えるのが、この任意後見契約の役割と言えるでしょう。
上記のとおり、精神障害を持つ方が、元気なうちに自身の後見人を選任する場合があります。当相談室にて対応したのが、本人の状態が良くないときに本人が家を出てしまい、戻ってきたころには財産のほとんどを使い切ってしまうという方のご家族からのご相談でした。
そういった場合には、元気なときに任意後見契約・財産管理委任契約を締結し、ふとした衝動によって浪費をしないようにするという対策が可能です。
また、障害のある子供が未成年のうちであれば、親権に基づいて両親が子供のための任意後見契約を締結することも可能です。
詳しくはこちらの記事をご覧ください。
こちらの記事の中にもあるのですが、どうしても子供のうちに適格な任意後見受任者を探すことが難しく、とくに家族の中のきょうだいしか任意後見受任者になり得る者がいないということが多いです。
逆に信頼できる法人・専門家・親族がいれば早めに任意後見契約を結んでおくと良いでしょう。

ここまでのお話のとおり、任意後見契約そのものは有用に働く可能性のある制度なのですが、現実的には信頼して依頼できる任意後見人の数が少ない現状にあります。
当相談室の司法書士・社会福祉士も任意後見人を受任してはいるのですが、地域や本人の事情を考えると当相談室で対応し切れない場合もあります。
そこで当相談室では、ご家族内での任意後見契約の締結を推進しながら、任意後見人のお仕事をいろいろな方に行ってもらえるように広めています。
もちろん、後見業務には高い専門性が必要になってくるので、誰もが簡単になれるという訳ではないのですが、現在後見人のなり手が不足しているということもあり、任意後見人の需要は高まってきています。
また、入所施設、グループホームや就労支援施設の運営法人または職員が後見人を兼ねることで、より生活に寄り添った形で後見業務を行える可能性も出てきます。
実際に利用者と任意後見契約を締結したいという法人からのご相談も多くあり、今後は介護と財産管理を一元化できる仕組みが増えていくのかもしれません。
当相談室では、任意後見契約の締結・利用、任意後見受任者からの相談、公正証書での作成に関するご相談を承っております。
お気軽に親なきあと相談室ファミリアにお問い合わせください。
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]]>The post 成年後見制度をわかりやすく解説! first appeared on 障がい者の親なきあと問題相談室ファミリア.
]]>ここではその成年後見人の制度についてお話します。
成年後見人の主な業務として、財産管理業務があげられます。日常的な部分では、預金通帳やキャッシュカードを預かり、日々に必要な分だけをお小遣い制のような形で分割して本人に渡します。他にも、公共料金などの各種支払や施設との入居契約、役所での手続などを代わりに行うことができます。不動産の売却などの契約行為も行うため、遺産分割協議をなども代わりに行うことができます。
ここでのポイントは以下のとおり。
成年後見人の財産管理の機能のひとつとして「契約の取消権」があります。クーリングオフのようなものをイメージしてもらえればわかりやすいでしょう。本人(成年被後見人)が後見人の同意を得ずに行った契約について、日常的な買い物などを除き、取り消すことができます。クーリングオフとの違いは、成年後見人が知ってから5年間は取り消すことができるという点や、契約の種類に限られず取り消すことができるという点があげられます。
ただし、悪質業者の多くは、お金を払ったのとは音信不通になっていまい、契約を取り消そうにも連絡すらつかないという場合がほとんどです。
この取消権よりも、実質的に役に立つには分割交付のシステムでしょう。財産が一括して本人の手元にあると、騙し取られてしまうリスクがそれだけあるということになります。これをお小遣い制のような形で、一週間、二週間と短い期間に区切って、そのうちに必要な金銭だけを渡すようにすれば、それ以上のお金を失うリスクをなくすことができます。
この分割交付を行うシステムとして「生命保険信託」というものもありますので、分割交付の必要性がある場合は、こちらの記事もご覧ください。
こちらも ①と同じように、分割交付のシステムを利用することで可能となる対策です。
当然、こちらも必要な金額だけを渡すことになるので、それ以上の金額を浪費してしまうリスクを避けることができます。また成年後見人は、定期的に本人と面談をする義務がありますので、おかしなお金の使い方があれば、その時に浪費に気付くことができ、また本人の話を聞くことで、改めてお金の使い方の方針を一緒に考えていくこともできます。
当相談室に寄せられる相談の中で、精神障害を持っている方が、一時的に薬を飲み忘れてしまったり、体調の良し悪しなどによって高額な買い物をしてしまい、貯金をすべて使い果たしてしまった、というようなことは良く耳にします。
あまりに大きな財産を一度に手にしてしまうということは、障害を持っているかどうかに関わらず、その方にとって大きな負担になり得ます。成年後見制度を使わずとも、生前にも対策することもできますので、この分割交付の必要性については、ご留意いただきたいと思います。
上記にも記載しましたが、成年後見人は不動産の売買や、遺産分割協議を代わりに行うことができます。民法という法律のなかで、意思能力が不十分な者は、日常的な買い物などを除き、単独で契約を締結することができないという規定があります。
寝たきりの方や認知症の症状があるご高齢の方、また精神障害や知的障害を持つ方は、契約行為ができない場合があるということです。
この契約ができないという点で、親なきあと問題相談室に寄せられるご相談としては大きく分けて二つあります。
それは「不動産の売却」と「遺産分割協議」についてです。
障害を持つ子と、高齢な母親の二人暮らしで持ち家に住んでいるような事例。
母親の認知症が進んでしまうと、不動産の売却手続きができなくなるという点が前述のとおりです。こういった事例で、母親が子供の介護をしているような場合で、母親が体調を崩しグループホームに入らないといけなくなってしまったりしたとき、母親のグループホームの費用と子供の今後の生活費の両方を確保しなければならず、子供が母親の持ち家で一人で暮らしていくことが難しければ、子供のグループホームの費用も確保しなければなりません。
母親の資金力によっては、持ち家を売却しなければ資金が足りなくなるような場合もあり得ます。
この時に、不動産の売買ができないほど母親の認知症が進んでしまっていた場合は、母親のために成年後見人を選任する必要があります
また母親が亡くなるまで、不動産を売却せずに済んだとしても、子供が一人残されたときに子供のためにグループホームなどに入る資金を確保するために、不動産を売却する必要が出てくることもあり得ます。その際に、子供の持つ障害の度合いによっては、子供のために成年後見人を選任する必要が出てきます。
しかし、資金が足りないから不動産を売却したいのに、成年後見人にも月額の費用がかかってしまうことを考えると、本末転倒のような事態になってしまいがちです。
後述の任意後見契約の制度や別所記載の福祉型信託を使えば、不動産の売却については対策をとることができますので、事前準備を行うようにしましょう。
相続人の中に,意思能力が不十分な方がいるような以下のような事例の場合です。
ⅰ高齢の夫妻で、妻が寝たきりで夫が亡くなった場合で、子供と妻の二人が相続人になった場合
ⅱ30代の子供二人が相続人で、そのうちの一人が知的障害を持っていて、意思能力が不十分な場合
このときどちらのケースの場合でも、相続の手続きを進めていくには、ⅰの場合であれば寝たきりの妻のための後見人や、ⅱの場合であれば知的障害を持つ子供のために後見人を選任する必要があります。
亡くなった方の名義の預貯金を引き出したり、不動産の名義を変えたりなどの相続の手続きには、基本的には有効な遺産分割協議をする必要があります。
その遺産分割協議を行うために後見人が必要なのですが、ⅰの場合に比べてⅱの場合は後見人を選任する必要性が高く、またその負担も大きいです。
ⅰの場合、後見人がつくのは、寝たきりの妻なのですが、やはり子供のころに後見人がつくことに比べれば、高齢になってからの後見人は、亡くなるまでの期間が短いため、後見人報酬などの負担も比較的少ないです。
反面、ⅱの場合、30代というまだ若いうちから後見人がついてしまうと、そこからの後見人報酬(後見人は一度つけると外せない。)を一生分考えないといけないので、注意する必要があるでしょう。
また、障害を持つ子供が亡くなった方の財産に依存して生活していることもあり、早急に相続手続きをしなければならない必要性があることが多いです。
もちろん対策はあります。こちらの記事のとおり、遺言があれば省略できる場合もあります。
障害を持つ子供がいる場合は、遺言などで相続の対策をすることは必須と言えるでしょう。
・成年後見人に財産をかわりに管理してほしい
・不動産の売却、遺産分割などどうしても契約上のことで後見人が必要に
・判断能力が不十分な子供が訴えられてしまった
などの事情があった際に、家庭裁判所に申し立てることで利用することができます。
ただし、一長一短のある制度なので、慎重に検討して利用するべきです。他の制度との組み合わせや、ある程度後見人の機能を代替できる制度もあるので、このブログで少しずつ解説いたします。
「必要書類が複雑かつ量が多い!」
本人の健康状態を示す書類や、戸籍や住民用・登記されていないことを証する書面などの
公的書類などを集めて、かつ申立書を作文しなくてはなりません。
裁判所の窓口である程度は教えてもらいつつ、家族が申し立てをすることもできるのですが、それなりに時間を取れる方でないと難しいのではないかと思われます。
かかる時間と手間、そして専門家への報酬とを比べて自身で申し立てするべきか依頼するべきかを検討すべきでしょう。
後述にもありますが、成年後見人報酬と今後のファイナンシャルプランとの兼ね合いについて注意するべきでしょう。
裁判所の基準として、後見人が受け取る報酬は月額2万円~、財産の総額があがるにつれて増加していきます。もちろん必ずしも2万円以上の報酬となる訳ではなく、ケースバイケースの中で裁判所が個別に判断するのですが、申し立ての際には、裁判所の基準をもとに検討すべきと考えます。
場合によっては障害年金もあるとは言え、申立時から一生に渡ってかかり続ける費用になるので、両親が必要なお金を生命保険等で用意する場合は、その分も計算にいれて考える必要があります。
もちろん資金ショートしてしまった際には、生活保護を申請するのも後見人としての役割でもあるのですが、生活保護に頼るべきか、また生活保護制度そのものの継続性についても考えるべきでしょう。
ここまでもいくつか挙げてきましたが、成年後見制度には立法上の欠陥ともいえるような欠点があります。
成年後見人は家庭裁判所に申し立てることで、選任してもらうのですが、誰が後見人となるかは家庭裁判所が判断します。もちろん申し立ての際に「この人を後見人にしてほしいです」というような希望を伝えることはできるのですが、必ずしもその通りになるは限りません。
地域にもよるのですが家庭裁判所は、特に親族が後見人になることを避ける傾向にあります。過去の後見人による横領事件が、親族後見人によるものが多かったことや、作成する報告書が司法書士などの作ったものの方が正確であることから、司法書士・弁護士・社会福祉士等のいわゆる職業後見人が選ばれることが多いようです。
もちろん職業後見人が横領事件を一切起こしていないかというと、そういう訳ではありません。平成28年における職業後見人による横領被害総額は、約9000万円にも及びます。また、後見人と親族との間のトラブルもあり、どうしても家族以外のものに財産を管理されたりすることに抵抗がある方も多いようです。
成年後見人のほとんどは、本人の幸せを一番に考えて業務を行っていると私は信じています。しかし、現実問題、刑事事件となるようなトラブルも存在しているので、後見制度の利用に今一歩踏み出せないというようなお話も耳にします。
ファイナンシャルプランに注意!の項でも述べましたが、後見人には月額の報酬がかかります。裁判所のガイドラインでは月2万円~となっていいて、管理する財産額によって増額されます。
高齢の方で認知症のために成年後見人を選任する場合と異なり、知的障害・精神障害を持つ方が成年後見制度を利用する場合は、比較的若いうちから利用することになるので、生涯における負担額が大きいです。障害年金を利用しても、就労支援施設などの工賃では後見人費用を捻出することは難しいケースが多いです。そういった場合は成年後見人が生活保護の申請を代わりに行うのですが、できれば自分の子供には生活保護に頼ってほしくないという両親の声や、本人の意思としても生活保護には頼りたくないという想いがあることも少なくはないです。また、生活保護の制度自体も限られた財源の中で実現しているものなので、今後もずっとあるものとは限りません。そういったことも踏まえた上で、親なきあと問題の対策をしていくべきでしょう。
成年後見人の義務として、本人の財産を守ることを重要視しなければなりません。ただその義務が本人の幸福につながるかというと、必ずしもそうではないというケースがあります。
たとえば、本人が障害年金を受け取りながらも一般就職をし、最低限の生活費に加えてある程度余裕のある収入を得ることができたので、両親に仕送りをしたいと思ったとき、これを後見人が承諾するかどうかについては、とても難しい問題です。おそらくはこの仕送りについて、後見人は承諾をしないのではないかと思われます。
この両親への仕送りは、本人から両親への「贈与契約」というものにあたります。このように一方的に本人の財産を減らす行為について、基本的に後見人は本人の財産を守るために、承諾してはならないというように考えられています。
同じように、高額な買い物や旅行なども、本人が希望したとしても後見人としては断る必要がある場合もあります。
このように、成年後見人が選任されることで、本人の自由に財産を使うことができなくなる可能性があり得ます。
本人の自己実現や人生のしあわせを考えると、そもそも後見人をつける時点でそうすべきかどうか検討する必要性があるでしょう。
①~③の欠点に加えて、この④があることで、後見人を利用したくないという方が多いかもしれません。基本的には意思能力が回復しない限り、後見人を外れることはありません。
では意思能力が回復することがある場合があるのかと言うと、ほとんどないのではないかと思われます。
ですので、必要なときだけ後見人を使うということはできません。たとえば不動産を売却をするときだけ後見人を選任するということや、遺産分割協議をするときにだけ後見人を選任するということはできません。
ここまででお伝えしたとおり、成年後見制度はどうしても使わざるを得ない場面がありながら欠点も目立つ制度です。利用する際には、慎重に検討をするべきでしょう。
分割交付などについては代替できる制度もあれば、遺言などを使えばそもそも後見人をつけなくとも済むようになることもあり得ます。本当に成年後見制度が必要なのかどうか、他の手段がないのかどうかきちんと検討すべきでしょう。
成年後見人制度でお悩みの際は、相談室ファミリアにお気軽にご相談ください。
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]]>相談室ファミリア代表の渡邉護です。
この記事では、当相談室のジョブコーチ(職場適用援助者)村岡茉実のことを私からご紹介いたします。本人が自分から言いづらい特技や魅力もお話していきます。
ジョブコーチ、まだ認知度が低い職業でしょう。厚生労働省の認定の資格であり、障害のある方・事業経営者・そして家庭とコミュニケーションを取り、障害のある方が職場で力を発揮できるように、また職場が障がいのある方の個性を理解できるように支援するのがジョブコーチの役割です。
一般的には以下のような業務に取り組みます。
ポイントとしては、障害のある方だけでなく、迎え入れる職場や指導者への指導も行うことがジョブコーチの重要な役割です。
ちょっとした職場内での工夫、たとえば説明の仕方やマニュアルを改善することで、
障害のある方が実力を発揮できるようになることもあります。誰でもわかりやすく、
作業しやすくつくることで障害のある方だけでなく、職場全体の作業効率があがることも多いです。
社員に正しい知識を身につけてもらうために社内での講座や研修も行います。
障害者についてはわかっているようでわかっていないことが多いです。偏見や誤解も多々あります。
ひとつの研修や座学だけでも、その理解が大きく変わることもあるでしょう。
一口に障害者といっても障害の種類は様々です。発達障害・知的障害・精神障害、その重軽度によっても働き方は大きく変わってくるでしょう。
さらに言えば、個々人によって特性や抱える悩みは全くもってバラバラです。そして職場の環境・会社の事情もまたバラバラです。それぞれの個性・それぞれの企業に応じてジョブコーチの業務を行っていく必要があります。こちらで説明した業務以外にも、ジョブコーチに求められることは今後どんどん増えていくのではないかと考えられます。
むしろ、コミュニケーションや指導方法の指導という点については、障害者という枠に留まらず、新入社員が会社に馴染むまでの支援などに関してもジョブコーチは活躍していくのではないでしょうか。

さて、当相談室のジョブコーチの村岡はどのような形で障害のある方々の職場適用の支援をしているのか。客観的な範囲でお伝えします。
村岡に相談される方は大きく分けて「障害のある方とそのご家族」か「障害者雇用と関わる企業」のいずれかである場合が多いです。
就労の関係で悩む方やそのご家族からご相談がある場合、多くの場合は就職先を選定する段階からご相談されることが多いようです。
「子供が就職先をなかなか見つけられず困っている」
「就労先でうまくなじめず、仕事が嫌に感じている」
「就労支援に通っているが、一般就労につながらない」
というようなお悩みが多いようです。
解決策として、大きく分けて次のようなサポートをします。

就職活動や就職後・企業側に本人の障害や特性、そして魅力を理解してもらえるために
使える本人のためのナビゲーションブックを作成します。自分自身のことを自分で伝えるということが難しい方のために作成します。
就職後でも就労中でも、企業側にナビゲーションブックをチェックしてもらい、本人のことを理解してもらえるように機能します。
また本人にとっても、ナビゲーションブックの作成によって、自分自身では気づかなかった自分の長所に気づくことや、いままで短所と思っていた自分の特性を長所であると捉えられるようになったりと、本人の自己肯定感の確立にも役立ちます。
「自分のことをこういう風に伝えてもらえるんだ」
「自分にはこんな長所があるんだ」
というような本人の喜び・感動の声をいただくこともあります。
自分の価値は自分ではなかなかわかりません。他人に言ってもらったり、誰かを喜ばせて初めて、自分で自分には価値があるのだと認識できるのであると私は考えます。
就職前にご相談される方へのサポートとしてメインとなるのがこのサポートです。
就職先の企業が障害者雇用について理解があるのかどうか、また上記のナビゲーションブック作成時において、本人の詳細情報を分析し、適切な業種を検討します。
長期に渡っての業務になりますので、ジョブコーチと本人・ご家族と信頼関係を築きながら取り組んでいるようです。
就労中にご相談いただいた方や、上記の就職準備からご相談いただいて無事就職された方へのサポートです。
当然、単に就職することだけがゴールではなく、職場への定着・人間関係の構築、ひいては本人の自己実現が目的なので、就職後のサポートも重要になってきます。
相談の中で、就職先のお悩みを聞いた結果、本人の抱える問題が意外と本人の思い込みやちょっとした同僚の勘違いであることも多く、
早期にジョブコートが問題に気付くことで、問題が大きくなる前に解決に導けることもあるようです。
相談者の中には、すでに就職していても、今の職場から退職したり転職を希望する方もいます。
そういったときも就労準備のためのミーティングと同じように、サポートすることが可能です。現在の就職先でわかったことや、問題点を踏まえたうえで転職先を探していくことを支援します。
相談する時点で、本人が現在の就職先で自信を失っている場合や、心に傷を負っていることもあるようです。本人のメンタルケアも重要になってくることでしょう。
障がいのある方またはそのご家族からのご相談をいただいた場合、継続的な信頼関係が重要となるようです。ジョブコーチ村岡との相性も重要になるので、数回の打ち合わせの後、ご依頼いただくかご判断されると良いのではないかと考えます。
すでに障害のある方を雇っている企業や、これから障害のある方を雇おうとする企業からご相談をいただくことがあります。
「障害のある方を雇っているが、他の社員とトラブルになり、休みがちになってしまった。」
「障害のある方がなかなか仕事を覚えてくれない」
「これから障害のある方を雇いたいと考えているが、手続きから実際の指導まで手探り状態で不安を感じる」
こういったお悩みを持つ企業経営者・人事担当者のために以下のサポートを用意しています。
(1)雇用を考えている企業のリスニング
(業務内容、社内スタッフの状況等の聞き取りからの可能性と計画)
(2)障害者雇用企業の見学
(3)業務訓練期間の手段と給料面の対策、諸手続き
(4)ハローワーク求人、面接同行
(5)障害者受け入れのための環境づくりに向けた社内研修
(6)障害者・社内スタッフ・経営者とのミーティング
(7)ジョブコーチ(障がい者勤務同行、作業分析開始)の実施、指導
(8)中間経過全体ミーティング・研修
(9)社内スタッフ・障害者からの相談対応
(10)長期勤務継続に向けた管理・相談対応、メンテナンス
(11)長期勤務継続からの更なる障害者雇用のレベルアップや事業拡大に向けた計画等
その他にも、必要とする企業ごとに障害者雇用の成功のための個別のサポートもご用意いたします。
ジョブコーチ村岡は、児童発達支援及び放課後等デイサービス事業所への経営コンサルタントの経験があり、自身もひとつの事業を手掛け、成功させています。いくつもの事業所の拡大に貢献した経験から、単なるジョブコーチとしてだけでなく、一経営者としても企業に寄り添った形で障害者雇用のサポートをします。
私見ですが、どうしても福祉の世界で働いている方や公務員の方・市の委託事業の中で働いている方々は、利益をあげるための経営というものがよくわからないという場合が多いように思います。
そんな中で村岡の経営コンサルタントの経験を持って行うジョブコーチの業務は、他に類を見ないサポートであるといえるでしょう。
ファミリアでは閉ざされた福祉の世界に、新しい観点からの支援ができることを重要視しています。こういった民間企業の成功者からの視点が、福祉の問題点を解決できることの糸口となるのではないでしょうか。

(1)でご紹介した業務を通して、ジョブコーチ村岡茉実と障害のある方との間で何度も面談を行います。私が見たところ、障害のある相談者の方々はほとんどの場合、すぐに村岡に心を開いてくださいます。
親御さんからご紹介いただいたときも、村岡と相談者本人とで話しているうちにいつの間にか相談者本人と村岡はとても仲良くなっています。相談者本人が両親に言えないような秘密を村岡に話してくれたり、恋愛や趣味の話も気軽に話しているようです。
お話の内容の詳細は私も聞いていませんが、一定の信頼関係の中で、相談者本人と村岡は親しいながらも指導者としての関係を築いているようです。両者のやり取りを見ていても、相談者本人から村岡への尊敬と信頼の念が感じ取れます。
村岡自身の、人生経験、親としての経験、サラリーマンとしての経験、経営者としての経験。それらの経験が、障害のある方、また障害のある方に限らず、そのご両親や就職先の企業経営者と心を開いて打ち解けることができるようにしているのでしょうか。
いずれにしても、その実績から村岡のコミュニケーション能力に関して、ファミリアのメンバー一同村岡をとても信頼しています。就労関係に限らず、村岡と障害のある方とのコミュニケーションから本人の想いをくみ取り、解決につながることもあります。
すこしうっかりしたところもある彼女ですが、性格としてもとても明るく、愛情の溢れた人柄です。ファミリアのムードメーカーとしてもいつも活躍しています。
ジョブコーチの資格・知識だけでなく、村岡の経験・才能・人柄についても相談室ファミリアの障害者就労支援には欠かせない要素であるといえるでしょう。
村岡は本人と仲良くなるだけなく、本人の才能を生かすことを得意としています。そのためにはやはり本人に自信をつけてもらうことも大事なのでしょう。村岡は本人や家族も気づいていないような本人の長所を見つけ出します。
相談者本人は、これまでの体験から、どうしても自分に自信が持てなかったり自分を好きになれていなかったりすることがあります。そんなときに村岡と話すことで、自分の魅力や才能に自信を持ち、自分を好きになってくれる相談者が多くいるようです。
とある相談者は、「自分はADHD、いわゆる発達障害の傾向がある」とおっしゃる方でした。忘れ物や遅刻が多いとのことで、そこからの失敗や叱責によって、自信を失い、精神的にも参っている面もあるようでした。(ADHDの方で、自分自身にあった環境にめぐりあえず、精神障害も抱えてしまったというご相談はよくあります)。
村岡は相談者との面談の中で、相談者の持つとある才能を見つけることができました。詳細は記述できませんが、人とのコミュニケーションに関する部分で、本人にとっては欠点だと思い込んでいた特質でした。村岡の作成するナビゲーションブックの中でもその特質をわかりやすく記載したところ、本人にとってとても嬉しくなるような内容で、大きな自信となったとのことでした。
その特質を生かせるように接客の分野で就職したところ、その特質による才能を発揮し、職場でも評価され、その相談者は今でもその職場で働いています。
村岡は本人とのコミュニケーションの中から、本人と真剣に向き合い、その才能や長所を注意深く見つけ出します。誰に対しても分け隔てなく真剣に接する彼女だからこそできることなのではないかと考えます。

結論として、相談室ファミリアとしては、障害のある・ないに関係なく就労の支援をしていけることが理想なのではないかと考えています。
「発達障害があるから」
「重度の知的障害があるから」
「精神障害があるから」
「身体障害があるから」
というような「障害」に注目するのではなく、「個」に目を向けるようにしています。
たとえば就職先の業種に関しても障害の種類で見るのではなく
「Aさんはこれが好き/嫌いだから」
「Bさんはこれが得意/苦手だから」
「Cさんはこの経験があるから」
というように障害ではなく、個々の特質に焦点を当てて考えていくべきでしょう。
きれい事のようですが、同じ人間はひとりとしていません。一人一人に真剣に向き合わなければ、一人一人の自己実現・願望実現を成し遂げることはできないです。「知的障害者」はこの作業をやってもらう。「精神障害者」はこういう雇用形態で働いてもらう。そういった画一的な考えでは、障害者の就労問題は解決することはないでしょう。
ですので、相談室ファミリアでは障害のある方に限らず、就職に対して苦手意識を持つ方や自分に自信が持てないという方にも、ジョブコーチとしての支援を行っています。そこに障害のある・ない、診断のある・ない、障害者手帳のある・ないで区別することはありません。とくにADHD・発達障害のある方々は病院の診断や発達障害支援センターなどのチェックも受けず、ただ漠然と生きづらさを感じて生きているような場合もあります。
相談室ファミリアはそういった方々にも自身の才能を発揮できる職場環境を提供し、また自分の長所・才能を知り、自信が持てるように協力していきたいと考えています。
また、障害のある方々はもちろん、誰もが働きやすい職場環境をつくることは企業そのものの成長にも大きくつながると考えられます。
障害のある方々を受け入れられる職場環境というのは、すなわち個々を受け入れ、個々を承認し、個々を生かすことができる環境であると考えられます。その環境は障害のある・ないに関係なく、すべての社員にとって望ましい環境ではありませんか。
昨今、なかなか就職先で馴染めずすぐに退職してしまう新入社員が多くなっているというようなことも良く耳にします。働き方改革という言葉からも企業の環境を変えていくことが重要視されます。
ジョブコーチによる就労支援・職場環境の改善は、障害のある方や次世代を担う若者にとって、働きやすい環境つくりに貢献していくことでしょう。相談室ファミリアのジョブコーチ村岡茉実がその先駆けとなってくれると信じています。

障害のある方で就労について悩んでいる方。「働く」ということに苦手意識を持つ方。自分が理想とする職場環境を見つけたい方。お気軽にお問い合わせください。
お問い合わせはこちらから↓
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]]>The post 障害者の親なきあと問題に遺言が必要な理由について first appeared on 障がい者の親なきあと問題相談室ファミリア.
]]>遺言の種類は大きく分けて「公正証書遺言」と「自筆証書遺言」の二つに分かれます。
「秘密証書遺言」という種類のものもあるのですが、実務上ほとんど使われないのでここでは割愛します。
ちなみに障害者の親なきあと問題では公正証書遺言と自筆証書遺言それぞれの使い分けも必要になってきます。
自筆証書遺言と公正証書遺言の詳細な違いにと使い分けについては、後述します。
まずは、なぜ障害者の親なきあと問題において遺言が必要なのかについてご説明します。
そもそも遺言はなんのために作成するのか?
などの理由が一般的には考えられますが、特に親なきあと問題においては
判断能力が不十分な子がいたときに遺産分割協議がストップしてしまう可能性があることを注意する必要があります。
遺産分割協議とは亡くなった方(被相続人)が遺言を遺していなかった場合、その財産をどのように分けるかを遺された家族(相続人)が決めることを言います。
遺言がない場合はこの遺産分割協議によって財産を取得する者を決めます。
しかしこの遺産分割協議には要件があります。
遺産分割協議を成立させるにはこの二つの要件を満たしている必要があります。
とくにこのうち②の要件について、親なきあと問題において注意点になり得ます。
なぜなら遺産分割協議に参加する相続人の中に、知的障害・精神障害があって十分な判断能力を有していない方がいる場合、遺産分割協議が成立しない可能性があるからです。
また遺産分割協議の成立を証した「遺産分割協議書」には相続人全員が役所において登録をしている実印を押印し、かつ印鑑証明書を添付しなければならないので、役所においてそういった手続きができなければ、実際に手続きなどで使うことはできません。

基本的に、銀行等に亡くなった方の名義がある場合、その口座はキャッシュカード等で引き出すことができなくなります。これをいわゆる口座凍結と言います。
亡くなった方の名義の口座ひとつで生活費などを管理していた場合で、生命保険などを利用していなかった場合は、亡くなって間もなくの生活費や葬儀費用を捻出することができないこともあり得ます。(借金をせざるを得ないこともあります)
不動産の名義変更・売却の手続きも同様で、遺産分割協議を成立させ、遺産分割協議書に実印を押印し、印鑑証明書を添付しなければ、亡くなった方の不動産を売却することができません。
この時、相続人の中に判断能力が不十分な方がいることで、遺産分割協議が成立しないというような場合は、「成年後見制度」を利用する必要があります。判断能力が不十分な方の代わりに遺産分割協議をしてくれる成年後見人の選任を裁判所に申し立てます。
ただし、
などの理由から、できる限り成年後見制度を使いたくないという声も耳にします。
しかし、生前に財産を持っている方が対策をしておけば、遺産分割協議が成立しない事態や成年後見制度を不本意に使わなくてはならないという事態に備えることができます。
その対策として最も簡単な手段が「遺言書の作成」です。
適切な遺言を作成すれば、遺産分割協議を省略することができます。
これに関しては自身が手書きで作成する「自筆証書遺言」についても
公証役場で作成する「公正証書遺言」についても同じことが言えます。
ただし、遺言の内容次第では、結局遺産分割協議が必要になってしまう場合があります。
自筆で作成する場合でも、専門家に相談して作成すべきでしょう。
自筆証書遺言と公正証書遺言、どちらにすれば良いのかという問題についてです。ほとんどの専門家は「相続対策をするのであれば公正証書遺言にしておいた方が良い」という意見を持っているようです。しかし、この「障害者の親なきあと問題」については、必ずしも公正証書遺言で作成した方が良いとは限りません。自筆証書遺言と公正証書遺言のそれぞれの違いについてまとめます。
まず遺言をつかってできることは以下のとおりです。
自身の財産を死後どのようにしてほしいか。これが遺言の本質的機能であり、遺言者の想いに忠実につくることが遺言の最も重要な点です。後述にある相続人同士争ってほしくないということや、死後の相続手続きで苦労してほしくないということ②~④の機能も、ある意味ではこの「遺言者の想いの実現」に含まれているとも言えるでしょう。
遺言と聞くと、やはり遺産相続争いの予防を思い浮かべる方は多いかと思います。実際に遺言を作成する方の多くは、相続人間の不仲を心配して遺言書の作成に踏み出す、傾向にあります。
次によくある謡い文句ですが、揉めないと思っていて書類収集などの手続きを省略するリスクを解説します。
遺言がない場合、遺産分割協議を行いその結果を証した遺産分割協議書を作成し、金融機関・法務局などに提出するのですが、その前提として遺産分割協議に全ての相続人が、参加していることを証明するために、亡くなった方の生まれてから亡くなるまでの戸籍謄本などの書類を収集し提出する必要があります。
戸籍謄本に関しては、本人の転籍・婚姻・離婚そして法の改正などの事由がある度に戸籍は新しく作り直されるため、その戸籍を全て集めるためには、かなりの時間がかかります。
遠方の市区町村に戸籍を請求しなければならない場合もあり、数か月間要する場合もあります。遺言の作成方法によっては、この書類の収集等の手続きも省略できるため、相続人の負担をかなり減らすことができるでしょう。
前述のとおりですが、障害者の親なきあと問題の対策については、意思能力の不十分な相続人のために、遺産分割協議を省略できる遺言の作成は必要不可欠となります。
公正証書遺言については、専門家の助言のもと作成すれば①~④の全ての機能をほぼリスクなく利用できるのですが、自筆証書遺言については検討すべきリスクが発生します。
自筆証書遺言の特徴として、要件を満たして作成すれば、自宅で一人で作成することができます。
なお自筆証書遺言の要件は以下のとおりです。ただし、今後の相続法の改正により、緩和される予定がありますので、現時点での制度での要件を記載いたします。
自筆証書遺言の最大の長所は
・「手軽」につくることができる
・「安価」でつくることができる
この二つであると考えられます。公正証書遺言作成の場合は、公証人との日程調整や証人の確保などの手間がかかります。公証人手軽料もかかってきますので、作成の負担が大きいと言えるでしょう。この点、自筆証書遺言は、作成そのものには手数料もかからず、自宅で作成でき証人も不要です。
よって自筆証書遺言は、今後環境が変わる可能性が高い高齢者以外の方の遺言に向いています。障害者の親なきあと問題では、比較的年齢層の若い方々でも対策が必要となるため、自筆証書遺言での作成をご提案する場合もあり得ます。
しかし自筆証書遺言には短所がいくつかあります。
その短所について対策をする必要があるのであれば、公正証書遺言で作成すべきでしょう。ここから自筆証書遺言の短所を説明していきます。
遺言が本当に有効なものかどうか争う裁判例は数多く存在しています。筆跡鑑定や押印の印影によって、ある程度は判断されるものの、当時の意思能力の状況などの判断は非常に難しいです。
「認知症の父をだまして無理やり遺言を書かせたのではないか。」
などというような文句を言う相続人がいると争いになりかねません。
当然、裁判で争うこと自体が不経済なことですので、こういった争いが考えられるようであれば、自筆証書遺言での遺言作成は向いていないでしょう。
公正証書遺言で作成した場合でも、このような争いは絶対に起こり得ないとは言えないのですが、公証人と証人2人の立会のもと作成するので、自筆証書遺言よりは成立に疑義が生じることは少ないと言えるでしょう。
自筆証書遺言は作成した後、自身の手で管理をする必要がありますので、自宅のどこかなどに保管する必要があります。あまりにわかりづらいところですと、死後見つからない可能性もありえます。
反面、わかりやすいところに置いてしまい相続人の誰かが見つけてしまった際に、遺言の内容が自身にとって都合の悪い場合に、相続人がその遺言を隠してしまったり、燃やされてしまったりしてしまった例もあります。もちろんその行為自体も、刑法上罰せられる行為でありかつ相続権を失ってしまう行為なのですが、書いた本人が亡くなっている場合はそのまま明るみにならずに遺産分割が進んでしまっていることもあり得るでしょう。
使用する際に作成した本人が亡くなっている遺言の性質から、保管方法には気を遣う必要があります。保管方法の一例としては、財産を受け取る予定の相続人に保管してもらうという方法があります。それであれば、大切に保管してもらえますし、隠されたり処分されたりする可能性も低いでしょう。
この点、公正証書遺言であれば、遺言書の原本を公証役場で保管するため、遺言書の紛失・滅失の恐れはありません。
①、②についてまとめると、やはり相続人同士が不仲、または遺言者と相続人で不仲なものがいて、潜在的に争いになりうる場合は公正証書遺言で作成をするべきでしょう。
自筆証書遺言は、相続の発生後に「検認」という手続きを行う必要があります。検認とは、裁判所において亡くなった時点での遺言書の内容を保存する手続きのことを言います。この検認手続きは、遺産分割協議と同じように遺言者の生まれてから亡くなるまでの戸籍謄本等の書類を収集・提出する必要があり、かつ裁判所申し立て書類の作成や裁判所との期日の調整などの打ち合わせもあるため複雑かつ時間のかかる手続きとなっています。
相続後、ゆっくりと手続きを進めていける場合であれば良いのですが、相続人が遺言者の財産に生活を依存している場合などは、この検認手続きがあることで数か月間の間財産を引き出せず困ってしまうことがあります。また、相続人が自身で手続きを進めることができないような場合であれば検認手続きの依頼自体もうまく行かないこともあり得ます。
この点公正証書遺言の場合は、「検認」手続きは不要ですので、すぐに手続きを進めることができます。
まとめると相続人が死後の手続きを行うのが難しい・煩わしいという場合や、家族が遺言者の財産に依存して生活している場合などは、公正証書遺言で作成すると良いでしょう。
ここまでの通り、自筆証書遺言と公正証書遺言。それぞれの長所・短所を理解したうえで作成するべきでしょう。

この障害者の親なきあと問題においては、子が未成年であるような比較的若いご両親でも対策をする必要が出てきます。若いご両親の場合、これから遺言の内容が変わることも多分にあり得ますので、費用や手間のかかる公正証書遺言は不向きであることが多いです。もちろん、他の相続人との争いが考え得るときなどは公正証書遺言で作成するべき時もありますが、そうでないときは、無理をせずに自筆証書遺言で作成すべきでしょう。
生命保険契約・生命保険信託などを併用すれば、「検認」期間の生活費なども遺言に影響せずに捻出させることもできます。このように自筆証書遺言と他の制度を組み合わせることで十分な対策をとることもできるでしょう。
公正証書遺言を作成する場合、細かい内容は公証役場にて作成してもらえますが、そもそも誰にどのように遺すべきかという点については自身で考える必要があります。この点については法律家等の専門家に依頼すれば、アドバイスを受けながら作成することができます。
・印鑑証明書
・ご実印
・相続人との関係がわかる戸籍謄本
・相続人の住民票
・不動産がある場合は登記事項証明書・固定資産評価証明書
などを集める必要があります。専門家に依頼している場合は代わりにこれらの書類を収集してもらえるのですが、自身で用意する場合は、区役所・法務局・市税事務所などをまわって収集しましょう。
公証人との日程調整をします。公正証書遺言作成には、証人の立会いも必要なので証人の確保もする必要があります。この証人は、相続人とその家族関係者以外のものでなければならないので、なかなか証人の確保が難しいと言われています。この点についても専門家に依頼していれば、専門家に証人としての責務も依頼できますので、日程調整もあわせて専門家に任せることができるでしょう。
あらかじめ提出してある文案をもとに、証人の立会いのもと、遺言者が遺言の内容を後述し、公証人がその内容を確認していきます。その内容に間違いがなければ、遺言者と証人が押印し、遺言者が完成します。
専門家に依頼するかどうかで大きく手続きの負担が変わってくるので、費用と効果を比べて検討すべきでしょう。
遺言を作成する場合に、注意しなければならない点がこの「遺留分」についてです。
一般的な遺留分の意味と、障がい者の親なきあと問題で出てくる特有の遺留分の問題をご紹介します。
「遺留分ってなに?」
遺留分とは、簡単に言うと「遺産のうち、最低限これだけは家族に遺しておくべき」というように民法で定められた権利のことで、相続人の生活を守るための権利と言われています。
例えば、両親と子供の三人の家族で、父親の収入と財産のよって家族全員が生活をしている場合、父親が「全財産を宗教団体へ寄付する」というような遺言を書いたときに、残された母親と子供は生活がままならなくなってしまいます。
そのようにならないように、民法では下記のとおり、遺産に対しての最低限の権利を定めています。
配偶者(夫から見た妻・妻から見た夫)→遺産の4分の1
直系卑属(子や孫)→直系卑属全員合わせて遺産の4分の1
直系尊属(父母・祖父母)→配偶者がいれば、直系尊属全員合わせて遺産の6分の1。いなければ、直系尊属全員合わせて遺産の3分の1
兄弟姉妹が相続人なる場合もありますが、兄弟姉妹には遺留分はありません。

よくある質問のひとつです。全財産を〇〇にといった遺言も書くことは可能です。遺留分はあくまで、配偶者や子供に保証するための制度ですので、死後その請求をするかどうかは配偶者や子供たち次第ということになります。
例えば、若いうちに死期が来てしまい、子供がまだ若いうちに亡くなってしまいそうになり、まだ自身で財産を管理することが難しい子供たちの代わりに、全財産を配偶者に相続させるというようにした場合です。基本的には、子供たちが成人したあとについても含めて、子供から親に対して遺留分の請求をすることは珍しいのではないかと思われます。
よほど仲が悪いのであれば別ですが、いずれは親が亡くなったあとにそれらの財産は子供が相続することがほとんどです。わざわざ遺留分の請求をして争うということは珍しいのではないでしょうか。
相続が起こった際に、全財産を配偶者が相続することは、相続税の兼ね合いからもよくある分割方法なので、そこに関して遺留分を請求しようとする当事者は少ないように思えます。ただし、制度上は子から親への遺留分の請求も可能です。こればかりは親子間の関係性も影響するところなので、ケースバイケースと言えるでしょう。絶対に大丈夫ということは言えない部分です。
「仲の悪い相続人がいるので、できるだけ財産を渡さないようにしたい。遺留分を無視することはできないのか。」
これもよくある質問の一つです。
結論から言うと、遺留分を請求させないようにする遺言は難しいと言えるでしょう。遺留分はとても強い権利なので、仮に生前贈与をしていたとしても、亡くなる直前であったり、遺留分を害する前提で行われた贈与である場合は、やはりそれも遺留分の請求の対象になります。
生命保険契約や民事信託を利用すれば遺留分に対抗することができるという見解を持っている方もいますが、判例の中ではっきりと明示されている訳ではないので、当相談室としては前述のように遺留分請求を確実に回避するのは難しいという見解をとります。
ただし、遺留分を見越したうえでの遺言書作成は可能ですので、その例をいくつかご紹介しましょう。
遺留分の請求に対して避けられないのであれば、その分を生前に計算し、できるだけ財産の遺したくない相続人にその分だけ遺しておくという手段があります。何の対策にもなっていないと感じるかもしれませんが、これには大きな意味があります。
まず一つは守りたい財産を守ることができるということです。
たとえば、遺産の内訳が先祖代々受け継がれてきた「土地と建物」と、「預貯金」だったとしましょう。相続人は子供二人、長男と次男で、次男は家族全員と仲が悪いといった事例で考えていきましょう。
こういったときに、先祖代々受け継がれてきた土地と建物をどうしても長男に継がせたいというときに、次男の方に遺留分の分だけでも遺言の中で預貯金を遺しておけば、少なくとも土地と建物を長男に遺したとき、次男からその土地と建物に対しての遺留分の請求を受ける可能性を減らすことができます。
また、争いにかかる費用を減らすことができます。金額が納得できないなどの事情があれば別ですが、遺言の中で適正な遺留分をもらえていれば、遺留分に関して争いになることは少ないでしょう。この「遺留分争い」ですが、意外とお金がかかります。
遺留分の請求を行う際は、基本的に弁護士等の専門家に依頼する場合が多いです。この専門家費用についてですが、事務所によって報酬は違うものの、争いになっている遺産額に対して「割合」でかかってくるので、かなりの金額になり得ます。詳しくは適当な弁護士事務所・法律事務所のホームページなどで見てみましょう。
裁判になってしまえば、その割合に対する報酬が、訴える側と訴えられる側でそれぞれかかってきます。そうなると、気が付いたら双方合わせて遺産の半分以上に相当する額が裁判費用に使われてしまっていたというようなことも十分に考えられます。
そもそも遺言の中で遺留分争いにならないようにしておけば、この裁判費用や裁判にかかる費用や時間を節約できるので、大変意味のある対策と言えるでしょう。
遺言とは本来争いにならないように作成するものですので、争いを避けることを重視して遺言をつくるのは、遺言の本来の趣旨にあった対策であるのではないかと考えます。
こちらも取り得る対策の一つです。まず「遺留分」を請求する権利は以下のような「時効」が定められています。原則として、こちらの期間の間に請求しなければ遺留分を請求することはできません。
この期間、遺留分の請求を受けずに時効を主張すれば、遺言はそのまま財産を受け取った相続人のものになります。現在、TV番組などで相続の特集などが増えてきたものの、「遺留分」という言葉の認知度はまだまだ低いのではないかと思われます。遺留分を請求できることを知らないまま、1年が経過してしまうことも十分考えられます。
また、遺言者が亡くなってから10年という期間は、亡くなっていることを知っているかどうかを問わず進行するので、連絡をほとんど取らないような相続人であれば、知らぬ間に期間が経過してしまっていたということもあり得ます。
他にも「付言事項」という遺言の項目の中で、「遺留分の請求はしないでほしい」という旨の言葉を遺すことは可能です。残念ながら法的効力はないものの、人情に訴えかけることはできるでしょう。
いざとなれば請求されたときに相続人たちが考えれば良い、と開き直って遺留分を気にせず遺言をつくるようなパターンもあり得ます。
(1)・(2)と説明しましたが、最終的には遺言者がどうしたいかというところにつきるので、それぞれの状況を整理し、法的な情報をすべて整理したうえで、遺言者自身が判断するということが重要です。
個人的な意見としては、「遺留分争い」になってしまうと、お金だけではなく時間や労力も大きく奪われるので、相続人のことを考えるのであれば、余計な争いが起こらない方向で進めることも愛情のひとつなのではないかと考えます。
「遺留分」については、一般的な相続でも問題になるところ、相続人になり得る家族の中に知的障害・精神障害を持つ方がいて、意思能力が不十分な場合、気を付けるべき点があります。以下の事例でご説明しましょう。
そういった状況の中で遺言を作成するのですが、今回父親の考えるとおり次男のみに財産を相続するように作成する場合、懸念すべきは長男の遺留分についてです。
一般論として、意思能力が不十分な障害者に財産を遺しても、自身で使うことができないため無駄になってしまうという考えがあります。その考え自体は間違っているとは言えないのですが、ここでも遺留分への対策が必要になります。
この遺言による相続が起こった場合、長男は次男に対して遺留分を請求する権利を持ちます。長男は意思能力が不十分な状況で、かつ次男が管理する財産で生活をしていくことになるのにかかわらず、遺留分を請求するようなことがあるのかという疑問を持たれるかもしれません。ここでネックになってくるのは「成年後見人」の存在です。
遺言があれば、遺産分割協議を省略できるので成年後見人がつくことはないのではないかと考える方もいらっしゃるかもしれませんが、成年後見人がつくパターンはそれだけではありません。
本人の施設との入居契約の前提で成年後見人の選任を求められることや、本人が裁判で訴えられる、または裁判で訴えなければならないような事件に巻き込まれるなどの状況になったときは、成年後見人を付けざるを得ないこともあり得ます。もちろん本来の成年後見制度の趣旨のとおり、家族の支援を受けながらも、財産管理に限界が来たときも成年後見人の選任をすることもあるでしょう。
上記のような遺言し、次男が全財産を相続したあとに、長男に何らかの事情により成年後見人がついた場合についてです。このときポイントとなるのが、「長男の成年後見人が次男に対して遺留分の請求をする可能性がある」ということです。
通常、家族のひとりが全財産を相続したとしても、相続したものが家族全員の利益のためにその財産を使うのであれば、遺留分の請求などは起こりづらいというように考えます。
ただし、家族誰かにに成年後見人が選任される場合はそういう訳にはいきません。成年後見人は、本人の財産を守ることを第一に考えなければなりません。
今回の事例で言えば、長男の財産を守るために、成年後見人は本人が利用できる制度や請求できる権利があれば、長男の代わりに権利を行使する必要があります。
それは遺留分についても同様であると考えることができます。次男が長男のためにも財産を使っている前提があった場合でも、後見人が遺留分の請求をするべきかどうかについては、後見人自身も難しい判断をすることになりますが、現在の成年後見制度における成年後見人の義務を考えると、次男に対して遺留分の請求をすることもあり得るでしょう。
上記のような遺言を作成する場合は、ここに対して対策をする必要があります。

親なきあとの遺留分への対策も、通常の遺留分への対策を応用して対策をしていく必要があります。ただし通常の遺留分への対策と異なる点があるので、注意しましょう。
最も大きな注意点としては、遺言者が亡くなったあとでも、成年後見人が選任されるまでは、次男の遺留分の請求に関する時効が完成しないことです。
民法では「時効の停止」と呼ばれる規定があり、意思能力が不十分な者については成年後見人が選任されてから一定期間の間は事項が完成しないと定められています。よって、相続が起こった当時には何もなくとも、成年後見人が選任された段階で遺留分の問題が生じる場合があり得ます。
つまり時効が適用されない兼ね合いから、逃げ切るということよりもストレートに遺留分を遺してあげる対策をするべきであると考えられます。
今回の事例で言えば、次男に成年後見人がつくまで利用できないことを踏まえたうえで遺留分に相当する金額を遺言で遺すという方法や、生命保険契約・生命保険信託を利用し、次男と保険金の受取人とし、あらかじめ遺留分を請求されたときに備えた金銭を用意することも可能です。
ここまでのとおり、障害者の親なきあと問題については、遺言ひとつとっても奥深い対策が必要となってきます。
障害者の親なきあと問題の対策や、遺言書作成に関してご相談されたい方はこちらへお問い合わせください。
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]]>しかし、障害者が相続人となる場合の財産の遺し方には注意が必要で、相談室ファミリアで最も多い相談の一つです。
知的障害者・精神障害者の場合、とくに対策が必要なのは「相続財産の管理方法」です。

相続によって一度に多くの財産を手にしてしまうと、家計の管理がうまくできず浪費してしまい、浪費癖がついてしまったり、
悪意のある業者などにだましとられてしまうケースが多くみられます。
また、財産を引き継いだ障害者自身がいずれ亡くなった場合、親が遺した相続財産はすべて国のものになってしまうケースがあります。
(知的障害者・精神障害者が遺言を書くことができない状況で、かつ障害者自身に相続人がいない場合)
つまり、障害者が相続する財産については
・財産を管理しながら使っていくためにはどうするか
・信頼できる財産管理人はいるか
・障害者自身が亡くなったあとの財産をどうするか
を考えることが非常に大事になってきます。
これらの問題点を解決できる手段として
「信託」という制度・契約が注目されています。
「信託」には大きく2つあり、
①信頼できる「個人」に財産の管理と、その後の財産の流れを託す「民事信託」
②信頼できる「銀行」や「法人」に託す「信託銀行・信託会社」
があります。
これらの手段は比較的認知度が高く、いろいろな専門家が親なきあと対策の手段として提案しているのですが、下記のような理由により、実際に活用されているケースは少ないのが現状です。
・個人間で財産を託すことに対して、心理的ハードルの高さがある
・個人間であることから財産管理者の横領、死亡等のリスクがある
・契約締結に伴う専門家費用がかかる
・契約締結等の初期費用が高い
・信託財産の下限設定に引っかかってしまう
・信託銀行・信託会社の営業支店のエリアが限られている
これらの課題に対して、最近「生命保険信託」という新しい選択肢を利用する場合が多くみられます。
そもそも、障害者が障害年金等を計算に入れて、生活保護に頼らずに生活していく場合、入居施設によっては、十分な生活をするためには、数千万円の生活費用が必要と言われいます。
平均的な収入の家庭で、この金額を貯金するのは現実的ではありません。
そのため、生命保険契約を利用して、親なきあとに必要な金額を死亡保険金として子どもの遺す方がほとんどです。
ただし、その保険金がそのまま一括で支払われてしまうと、結局財産管理がうまくできません。
そこで活躍するのが「生命保険信託」です。
生命保険会社から子に支払われる保険金を、生命保険信託会社が管理し、生命保険信託会社を通して、子に分割して交付をすることができます。
つまり親が事前に生命保険信託会社と契約し、定めた金額や期間通りに、生命保険信託会社から子に支払うことができる、という仕組みです。
その支払い方は信託契約の中である程度自由に決めることができ、
「保険金の中から毎月10万円ずつ交付する。」
「20歳になるまでは毎月15万円ずつ交付し、20歳の誕生日に一括で残額を交付する。」
というような決め方もできます。

また、信託契約である性質から
「子が亡くなるまでは、月15万円ずつ交付し、子が亡くなったあとは〇〇施設へ全額寄付する。」
などの決め方もできますので、障害者の子が遺言を遺せない場合も国に財産をとられてしまうことはありません。
さらに民事信託や信託会社・信託銀行を利用する場合に比べて、手数料も格段に安く済みます。
この生命保険信託をうまく使えば、親なきあとの対策の幅は大きく広がります。
ただし、生命保険金以外の財産についても対策は必要なので、他の制度と組み合わせてスキームを組むべきでしょう。
障がいのある子供の財産について、月々必要な金額だけを渡す「分割交付」が有用である理由を説明します。
財産の管理を代わりに行う制度としては「成年後見制度」というものがあります。
この成年後見制度の主な役割のひとつに「分割交付」の機能があります。
成年後見人が毎月必要な分だけをお小遣い制のような形で渡し、お金の使い過ぎやだまし取られてしまうことを防いでいます。
ただし成年後見制度そのものについては難点も多く、利用に躊躇するご家族も多くいるようです。
その中で、この生命保険信託は、成年後見制度を利用せずに分割交付の役割を果たすことができるので、今後親なきあと問題の対策にどんどん使われていくことでしょう。
30代前半のご夫婦で、知的障がいのある子どもの年齢が5歳の3人のご家族。
ご相談の内容としては、当相談室の存在を知って少しでも今からできる対策をしたいということでご相談いただきました。
ご夫婦のご意向として、あまりお金のかかる対策を今からすることには抵抗があり、少ない予算でできる対策をとることにしました。
まずは、親なきあとのファイナンシャルプランから検討しました。
がグループホームに入った際に必要な費用・後見人の費用・日用品購入の費用等々から逆算し、月々必要な金額を割り出します。
その金額に対して、子供の現在の年齢から平均寿命を基準とした月数を乗じて生涯に必要な金額を割り出します。
数千万円以上の金額が必要になってくるので、生命保険以外で準備するのはなかなか難しいかもしれません。
その金額を実現できる生命保険を設計し、あわせて生命保険信託を設定します。
今回の事例では、年齢や収入を加味し、夫を保険者として設計し、最初の受取人を妻にして設計します。
これは障害のある子供を受取人にしていた場合、夫が亡くなったときに、子供の名義の口座に保険金が振り込まれてしまうと、妻が子供のためであっても自由な出費をすることができない可能性があるからです。
このときに、生命保険信託を利用することで、受取人について自由に変更をすることができます。生命保険信託の世界では、保険金を受け取る者のことを、「受益者」と表現するのですが、最初に保険金を受け取る「第一受益者」を妻に。妻が亡くなったあとに保険金を受け取る「第二受益者」を子供に設定します。
保険金に関しては毎月分割交付にし、毎月受け取る保険金については妻が生きている間は、毎月妻が保険金を受け取り、妻が亡くなったあとは毎月子供が保険金を受け取るというように設定します。また「第三受益者」についても念のために設定し、子供が亡くなった場合には、夫の甥が受取人となるように設定しました。
こうすることで将来子供に相続人がいない場合でも、保険金が国のものにならないので、より家族の思いに沿ったお金の使い方ができます。
もちろん分割交付を行うことで、本人の浪費や大金を持っていることによって犯罪に巻き込まれてしまうことを防ぐことができますし、また将来子どもに成年後見人・任意後見人が選任された場合にも管理の負担や横領の負担を減らすこともできます。
今回の事例では、生命保険信託の設定とあわせて、簡単な遺言をご夫婦ともに作成しました。
障害のある子どもがいるご夫婦の親なきあとで注意すべき点は、「遺産分割協議」を省略できるかどうかという点です。
遺産分割協議には契約に近い性質があるため、当事者に十分な判断能力が必要です。(民法では行為能力と言います。)
障害者本人がその遺産分割協議に参加するためには、裁判所で代理人を選定してもらう必要があり、場合によっては子供の一生の後見人がそこで決まってしまうこともあります。
つまりご夫婦の片方が不慮の事故で亡くなってしまった時点で、銀行の口座が止められてしまい、その口座の解約のために膨大な時間がかかることと後見人が限定されてしまう可能性があるということです。
しかし、実は簡単なことで防げます。自筆で良いので、下記のような簡単な遺言書をつくれば良いのです。
遺言書
私、遺言者である○○(生年月日)は、全財産を妻(夫)である××(生年月日))に相続させる。
平成 年 月 日
○○ 印
自筆なので、時間もかからず、10分少々でつくることができます。これだけで、遺産分割協議を省略できるので、不本意な成年後見人の選任を防ぐことができます。
この事例でも、上記のような簡単な遺言書を作成しました。
※上記の記載はあくまで記載例です。詳細な書き方については専門家に相談したほうが確実です。
もちろん、金融機関の対応によっては上記の簡易な遺言では対応してもらえない可能性があります。
事例のご夫婦も詳細な不動産の表示の記載、口座番号等の口座情報を記載したうえで、公正証書によって再作成する予定になっています。
こちらのページもご参考に。
この事例のように、生命保険信託と簡単な遺言を組み合わせることで、限られた予算でも十分な対策をとることができます。
そういった対策でも、残される子供にとっては大きな利益となるでしょう。
親なきあと問題の対策について何を始めたらよいかわからないという方も、生命保険信託の利用の検討から始めてみてはいかがでしょうか。
司法書士 渡邉護
生命保険信託についてのご相談についてのお問い合わせはこちらへ。
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