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]]>その中で結構深刻な問題だな、と思ったのが障害のある子の相続分に関する権利侵害のことについてなんですよ。
両親の遺言書がない場合、障害のある子が財産を受け取るための相続手続を
成年後見人がつくまでできなくなってしまうことがあるんですよね。
ひとりっこのときと他の相続人がいるケースで説明します。
障害のある子が一人っ子で、他の相続人との遺産分割協議が不要の場合でも
金融機関や法務局の窓口での手続きが本人にとって難しい場合があります。
そういうときは成年後見人を裁判所に選任してもらって相続の手続きを行ってもらうのだけど
成年後見人が選任されるまで結構タイムラグがあったりします。
そもそも本人や福祉事業者の方が相続財産のことを全く気にしていなくて
成年後見人を選任する手続きをずっとやっていなかったってこともあるんですけどね。
で、成年後見人がついていないその間に
親族の誰かが勝手に亡くなった親御さんの財産を使ってしまっていたりするというパターンがあるのですよ。
最近では亡くなったお母さんのご親族が、晩年入院していたお母さんのためにキャッシュカードを預かっていて
そのカードで口座が凍結される前に結構財産をおろしてつかっちゃっていたんですね。
当然横領事件です。
世に相続についての基本的な知識が浸透していないためなのか、親なきあと問題特有のことなのか
割といままでそういう横領事件を見かけてきました。
おそらく親族間のこともあるので表に出さないように処理しているケースもあるかと思うので、
全体として少ない話ではないんじゃないですかね。
他にも、障害のある子にきょうだい(異母兄弟姉妹・異父兄弟姉妹を含む)や甥姪がいるケースで
両親が亡くなったときに相続人全員で遺産分割協議をして遺産分けなければならないところ
なぜか障害のある子本人の知らないところで他の相続人が勝手に遺産を分けて終わらせてしまっていた、なんてことがありました。
当然、障害のある子本人が理解したうえでの承諾のない遺産分割は無効ですし、本人の相続分を侵害して財産を使ってしまうのは犯罪です。
本人の印鑑証明書や実印を勝手につかって手続きをするようなことは、家族とは言え、本人の人権を護るためにすべきことではないです。
いずれのケースにおいても備えること自体は簡単で、
両親が亡くなる前にきちんと【遺言書】をつくっておけば良いのです。
とくに遺言書の内容を実現させる代理人である遺言執行者を遺言書の中で選任しておけば、
本人の負担が少なく、かつ迅速に相続手続きを行うことができます。
他の相続人がいたとしても、遺産分割協議が不要となります。
場合によっては、成年後見人を選任せずとも相続手続を終わらせることもできるでしょう。
(もちろん遺言書の内容に不備がないことが前提です。)
障害のある子以外に相続人が複数いる場合はもちろん、障害のある子が一人っ子の場合でも必ず遺言書はつくっておくべきです。
親なきあと、障害のある子の権利が侵害されるような出来事をこの世から消し去るために、
障害のある子のお父さん・お母さんたち、必ず遺言書をつくっておいてくださいね。
司法書士渡邉護
遺言書作成についての相談も受けつけておりますので、お問い合わせください。
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]]>The post 手をつなぐ育成会主催「障がい者・児の『親なきあとの問題』」 first appeared on 障がい者の親なきあと問題相談室ファミリア.
]]>にて、当相談室の司法書士の渡邉護がお話させていただきました。
以下、渡邉からの感想です。
網走市手をつなぐ育成会の理事の皆様に大変あたたかく出迎えていただき、講演させていただきました。講演までの間、理事の皆様に網走の育成会のご事情をお聞きし、悩んでいるご家族にどんなことをお伝えすべきか考えることができました。
会場には早めにはいり、育成会の皆様と一緒に会場設営。とても立派な演題までご用意いただき、気合の入る思いです。
講演には80名近い方にお越しいただき、皆様終始真剣に聞いてくださっていました。
内容は親なきあと問題とは何かといういつものお話から入り、成年後見制度、遺言、信託、生命保険信託、未成年障害者の任意後見契約、とお話させていただきました。
伝えるうえでいつも注意している点としては、どの制度が良いとか優れているということをお伝えしたい訳ではなく、それぞれの制度には一長一短があり、組み合わせてつかうことが大事であるということです。
また、自分たちだけで悩まずに早めに当相談室にご相談された方が良いということもお伝えしております。当事者のご家族で、自分たちで抱えてしまい、なかなか相談に行けず、早めにできた対策ができなくなってしまうということもあり得ます。
なにより、自分たちだけで対策をしようとして、間違ったやり方の対策をしてしまい、その分の時間やお金を浪費してしまうことがもったいないことだと思います。その時間を家族との時間に使ったほうが有意義な場合が多いです。餅は餅屋という言葉がありますが、無理をせずに専門家にご相談されると良いでしょう。
事前にいただいた質問には「障害者の親の親の亡きあと問題」に関することがありました。
当相談室に多く寄せられるご相談のひとつです。
「障害者の両親の両親が亡くなるまでにできることはありますか?」
とてもたくさんある中、ご家庭ごとにやるべきことは大きく異なるので、一般化された回答は難しいですが、そういった問題も含めて早めにご相談をいただくと良いかと思います。
障害者から見た祖父母の皆様もそれぞれ想いを持っているので、祖父母が元気なうちに家族内で共有し、法知識と併せて最善の方法を考えられると良いでしょう。
次の日は、手をつなぐ育成会のお子さんたちヨサコイを見に網走刑務所矯正展へ。
網走市長とお会いすることもでき、大変充実した時間を過ごすことができました。
また北海道新聞でも今回の講演について取り上げていただき、
今後も地方での講演も積極的にお受けできればと考えておりますので、ご依頼をお待ちしております。よろしくお願いいたします。
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]]>The post 親なきあと問題にセカンドオピニオンで入ること first appeared on 障がい者の親なきあと問題相談室ファミリア.
]]>ご両親と子どもがお二人の家族で、子どものひとり(妹さん)には障害があり、その子どもは入所施設で生活していました。
その中でお父さんが遺言をのこさずに亡くなり、遺産分割協議による相続の手続きをすることになりました。
(障害者の親なきあと問題と遺言についてはこちらの記事をご覧ください。)
相続の中で、住んでいる自宅不動産がお父さんの名義だったので、その名義をお母さんの名前に変えようとしました。
役所の窓口で必要な手続きや書類を聞いてきて、自分達だけでは手続きを進めようとしたところ
やはり難しく、近隣の司法書士事務所に相談に行かれたそうです。
するとその司法書士からはこんな回答がありました。
「自宅不動産の名義をお母様に移される場合は、妹さんに成年後見人をつけて、不動産の売却金額の4分の1に相当する金額を妹さんに支払う必要があります。」
実際に売却するわけでもないのに、家計から自宅の売却金額の4分の1も支払うということはとても負担が大きいです。
また、妹さんの生活は障害年金さえあれば十分な生活ができ、むしろ大きなお金が妹さんの手元にあっても妹さんにとっても使い道はほとんどありません。実質的には家族のお金の数百万円が妹さんの亡くなるまで使うことができない状態になるということでした。
お母さんは途方に暮れてしまい、何か他の方法はないかと当相談室にご相談にお越しになりました。
そこで、当相談室の司法書士が対応し、とある知識を伝えたところ、とくに自宅不動産の4分の1に相当する金額を払うこともなく、現在もそのまま自宅不動産に住み続けることができています。
その知識の内容はケースによって使える場合とそうでない場合があり、誤解が生じないようにあえてここでは記載しませんが、障がい者の親なきあと問題特有の知識なので知らない専門家も多いようです。
今回も先に相談した司法書士が間違っていた訳ではないのですが、障害のある方が関係する相続はとても難しく、一般の司法書士ですと誤った判断をしてしまったり、知識が足りていないということがあり得ます。
障がいのある方の相続は、専門である親なきあと問題相談室ファミリアにご相談いただくのが間違いないです。
ご自身でなんとかしようとする方も時々いらっしゃいますが、なかなか自分で調べて、自分で手続きを進めたり対策をするのは難しいです。いろいろ振り回されて疲れ果ててようやく当相談室にたどり着くということが多いです。このケースでも役所のアドバイスが間違っていた部分がありました。
ファミリアで勉強会を開催するのも、相談するための知識や親なきあと問題の大枠をとらえてもらうことを目的としていて、ご自身で勉強をしてご自身でなんでもできるようになることを推奨している訳ではありません。
餅は餅屋という言葉もあるとおり、親なきあと問題の対策を確実に進めるためには専門家の力を借りるべきでしょう。
早めに相談することで、とれる手段が広がることも多いです。勇気を出して一歩踏み出してみてもらえればと願っています。
無料相談のお問合わせ・お申込みはこちらからどうぞ。
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]]>The post 実際に遺言を書いてみようの勉強会 IN 小樽市手をつなぐ育成会さんにて! first appeared on 障がい者の親なきあと問題相談室ファミリア.
]]>平成31年2月15日、小樽市マリンホールにて。
多くの方にご参加いただき、お話させていただきました。
内容としては、いつもと同じ親なきあと問題においてどのような問題があるのか、親なきあとどのようなことで子供が困ってしまうのかをお話させていただき、それに対してどのような対抗策があるのかをご説明いたしました。
そこまではいつものセミナーと同じなのですが、今回は「遺言」にスポットを当ててお話いたしました。
遺言が親なきあと問題についてどのように効果的に働くかを事例を使ってご説明いたしました。
(詳しくはこちらに載せているのですが、文章にすると長すぎますね。)
そして今回のセミナーのメインである遺言の書き方についてご説明いたしました。
自筆証書遺言に必要な要件と、改正後の相続の規定に関する情報の中で自筆証書遺言の作成に役に立つものをピックアップしてご説明。
そこから、いくつかの文案をもとに、参加者ひとりひとりに遺言書を実際に作成していただきました!
希望する方へは、遺言書の添削の手助けをしてあげて、最後には参加者全員が遺言をつくって帰られました。
参加者の皆様は、毎年勉強会をされているということで、生命保険や信託に関する親なきあと問題対策に対する発展的な内容をお伝えしても興味をもって聞いてくださるので、とてもやりがいのある勉強会でした。
今回の勉強会では、終わった後に参加者の皆様とよくお話できたのですが、「とてもおもしろかった」
「わかりやすかった」「ほかのところでもお話してほしい」というようなお声をお聞きし、とてもうれしい気持ちになりました。
参加者の皆様の満足度も高かったように見えました。
やはり、知識を聞いてそれだけで満足するのではなく、実際に行動することで前へ進めるのだと思います。
今回の参加者の皆様もシンプルながらも確実な遺言をつくることができて、心配をひとつ減らすことができたのでしょう。
すこしでも多くのご家庭に安心を届けられるように今後も知識をお伝えできればと思います。
セミナー・勉強会講師のご依頼などございましたら、お気軽にこちらまでお問い合わせください。
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]]>The post 障害者の親なきあと問題とファミリアのご紹介 first appeared on 障がい者の親なきあと問題相談室ファミリア.
]]>障害を持っている子を親が介護している場合、親が先に亡くなった後、どのようにその子が十分な介護を受け、不自由なく幸せに人生を送ることができるか。
これが「障害者の親なきあと問題」といわれるものです。単に「障害者の親なきあと問題」と言っても様々な種類の問題があります。
悪徳業者による詐欺被害。知的障害者、精神障害者をターゲットとした悪質な訪問販売や、判断能力の不十分な障害者をだまし、金銭をだまし取る事件は後を絶ちません。障害や認知症がある人からの消費者センターによせられる相談は年間約2万件にも及びます。
浪費の問題。知的障害者、精神障害者自身によって管理することはなかなか難しく、また現代社会では消費意欲を煽るような広告が溢れています。自宅で気軽に買い物ができる便利なはずのシステムが、浪費につながってしまうことも多々あります。
横領被害。施設の職員や、保護者、成年後見人などの本来知的障害者、精神障害者を護る立場であるはずの者による犯罪です。事件やニュースになっているものもあれば、今この瞬間においても、明るみになっていないものもあるのではないでしょうか。
障害を持っている子の親の立場である方々の状況としては、これらの問題に対して「漠然とわかってはいるけれども、どうしたら良いかわからない」「どこに相談したら良いかわからない」というような現状がほとんどです。
日々の生活を過ごすのがやっとの中で、漠然とした不安を抱えたまま過ごしているという方が多くいます。またその結果、自分と子供の将来を悲観し家族の人生を諦めてしまうというケースすらあります。
そこで「障害者の親なきあと問題」について、総合的に相談を受ける相談室をつくろうと考えました。それが「障害者の親なき後問題相談室ファミリア」です。
障害者の親なき後問題について、総合的な観点から相談をうけ各分野の専門家が直接アドバイスができるようにつくった相談室です。
どこにも相談ができずに独りで抱えてしまう人を一人でも助けられるように「いつでも相談ができる」「なんでも相談ができる」ということを重視し、ファミリアの名の通りの親しみやすい相談室であることを理念としています。
勇気を出して相談をすれば意外と簡単なことで解決したり、知らないだけで利用できる便利な制度が見つかったりと、まずは相談に来てくれるだけで大きな前進の一歩になり得ると考えています。
最も避けたいのは情報から孤立してしまうことです。どうしても日々の生活や介護に追われ、誰かに会うことや情報を得る機会から遠ざかり、何かあった時に気が付けば周りに相談できる人間がいない、ということもあるようです。
相談室の開設に経緯としても、とある障害を持つ子の親の相談を受けたときに、そういった「情報からの孤立」があるということに気づいたことが最初のきっかけでした。
相談の内容としては、ちょっとした相続の知識を知ってさえいれば、すぐにでも解決できるような困りごとでしたが、たしかに放っておくと親が亡くなったあとに、残された障害を持つ子やその兄弟が困ってしまうといった状況でした。その相談者には簡単な遺言をひとつ書けば解決するということを伝え、その場ですぐに遺言を書いてもらい安心して帰っていただきました。
その相談を通して、同じようなで状況でありながら相談をする機会に恵まれなかったり、そもそも自身の抱える問題に気付いていなかったりするような、まさに情報から孤立してしまっている障害者とそのご家族がたくさんいるのではないかと気付いたのです。
もちろんその問題自体を意識していない訳ではなく、「漠然とわかってはいるけれども、どうしたら良いかわからない」「どこに相談したら良いかわからない」といった状況でした。また、それらの声を聞くと同時に「障害者の親なきあと問題」について相談できるところがあれば本当に助かるといった声をたくさんいただきました。
そこで協力してくれる有志や専門家を集め、相談室ファミリアの開設にいたりました。
障害者の親なきあと問題について、多くのご相談を受けてきましたが、具体的には下記のような内容に集約されます。主に知的障害または精神障害のある子を持つ親御さんからのご相談がほとんどです。
① 障害のある子どもの「生活環境」に関する事
・子どもが自身ですべての家事を行うの難しい。グループホームや施設に入ることを考えるべきか、両親の自宅に住むことができるように考えるべきか。
・将来グループホームや施設に入ることを想定したときに、今からできることはどんなことがあるんでしょうか。
② 障害のある子どもの福祉制度・生活保護の利用に関する事
・子供のためにいくらくらい遺してあげれば良いのでしょうか
・「障害年金」を含めて考えて足りなくなる部分などはどうすれば良いのでしょうか。
③ 障害のある子どもの「財産管理」に関する事
・子どもがひとりになったときに自分でお金の管理ができるか心配。
・お金をだまし取られてしまったりしないでしょうか。
詳細はこちらのページへ
後見制度について
生命保険信託について
④ 障害のある子どもへの「財産承継」に関する事
・兄と障害のある弟の二人の子どもがいます。どうやって財産を遺すべきでしょうか。
・遺言を書こうと思うのですが、障害のある子どものためにはどのような遺言を書くべきなのでしょうか。
詳細はこちらのページへ
遺言について
⑤ 障害を持つ子どもの「就労」に関する事
・なかなか障害者を雇ってくれる企業の中では、子どもにあった環境が見つからない
・一般企業に就職しても続かずにすぐにやめてしまう
詳細はこちらのページへ
これらの問題点に対応できるように各専門家が集まり、設立したのが
「障害者の親なきあと問題相談室ファミリア」です。
司法書士・行政書士・ファイナンシャルプランナー・社会保険労務士・社会福祉士・ケアマネージャー・ジョブコーチ(障害者の職場適用援助者)等が上記の問題にたいして、協力して解決に導きます。
従来の「商品前提型の専門家」から「問題解決型の専門家」へ。
親なきあと問題について不安を抱えるご夫婦からこのようなご意見をいただきました。
「いままで多くの専門家に自分達の相続について相談してきました。しかし、ハウスメーカーに相談をしに行けば、節税対策に空き地に住宅を建てることを提案され、保険屋さんに相談すれば生命保険を売られ、法律家のセミナーや無料相談会に行けば高額な民事信託の契約を提案され…
どの専門家も自分の商品を売る事しか考えていないようにしか見えないです。公平な立場から意見をもらうにはどうしたら良いのでしょうか。」
同じ専門家として恥ずべき点ですが、いまだに自身の「商品」を売ることに固執し、相談者が本当に求める解決に導くことができていない専門家が多数であるというように感じます。
とくに行政書士・司法書士・弁護士などの法律家で言えば、売りたい商品が「借金の過払い金請求」等から「民事信託」へ変わったのでしょう。民事信託の押し売りのようなセミナーや必要性の薄い民事信託の提案書をよくみかけます。
ちなみに上記のご夫婦の相談を、相談室ファミリアで検討し、いくつかのパターンを提案したところ、ご夫婦の意向から、シンプルな遺言と生前贈与のプランで対策をとることになりました。ご夫婦の想いを聞き取ると、意外と簡単な対策だけで問題を解決することができたのです。
今、専門家に変化が求められています。
障害者とそのご家族からの相談を受け、あらゆる方面から親なきあと問題に対応できる体制をつくっています。
そのために法律面、財産管理面、経済面、生活面、各方面の専門家を集め、ひとつの家庭が抱える問題を、複数の専門家がそれぞれ検討し、会議し、最高の提案ができる体制を実現しました。相談者自身も気づいていなかった問題点についても事前に察知し、その予防策を提案できます。
また、ファミリアの専門家相談員は、単に知識だけがある専門家を集めただけでなく、日々面談とコミュニーケーションの訓練をし、相談者に心から寄り添うことのできる人材を集めています。専門家にありがちなきちんと相手の話を聞かずに、知識だけを並べるような相談員は、ファミリアにはいません。
仮にすぐには解決できないような問題であっても、その悩みを相談員に話してもらい、心の整理をしてもらうことで、少しでも気持ちが楽になってもらえるような対応を心がけています。
相談者から
「ファミリアに相談してよかった。これでもう安心です。」
「ひとりで悩まずにまずはファミリアに相談しよう。」
「ファミリアに相談しただけで元気が出て前向きになれた。」
そんな風に思ってもらえる相談室を目指しています。
どれだけ対応力があっても、どれだけ心に寄り添うように相談者に対応しても、ファミリアの存在を知られていなければ意味はありません。特に助けなければならない対象者は、情報から孤立してしまっているようなご家族です。そのご家族にどうやってファミリアの存在を届けるか、大きな課題として捉えています。
地道な活動を通して、情報から孤立してしまっているようなご家族にもファミリアの名前が届くようになることを目指しています。
親なきあと問題相談室ファミリア 代表
(司法書士AXIS法務事務所 代表)
司法書士 渡邉 護
とある障害者のご家族からのひとつの相談をきっかけに、親なきあと問題相談室ファミリアを立ち上げました。
情報から孤立してしまい、誰にも相談できないままでいるご家族や、制度や手段を知らないだけで損をしてしまっているご家族の力になりたいと考えています。
専門分野としては主に成年後見制度についての相談対応、財産管理方法の提案、遺言書の文案の作成、信託契約書の作成、解決策全体のリーガルチェックなどを行っています。
漠然とした不安を抱えて相談にくる方々が、安心して悩みを話せるように、専門的知識についてだけでなく、コミュニケーションや人の感情・心についても知識を深めるようにしています。
またファミリアの組織つくりについては、人格面からも専門性からも本当に信頼できる人にしか声をかけておりません。相談員同士も信頼しあって知識を交換し、誰もが意見を出せるような環境つくりをすることで、相談者にとっての最善の提案をつくることができる体制になっています。
「ファミリアに相談してよかった。これでもう安心です」
常に相談者のみなさんにそう言ってもらえることを目標に、自身の精進とよりよい組織つくりを心がけていきます。
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]]>The post 障害者の親なきあと問題に遺言が必要な理由について first appeared on 障がい者の親なきあと問題相談室ファミリア.
]]>遺言の種類は大きく分けて「公正証書遺言」と「自筆証書遺言」の二つに分かれます。
「秘密証書遺言」という種類のものもあるのですが、実務上ほとんど使われないのでここでは割愛します。
ちなみに障害者の親なきあと問題では公正証書遺言と自筆証書遺言それぞれの使い分けも必要になってきます。
自筆証書遺言と公正証書遺言の詳細な違いにと使い分けについては、後述します。
まずは、なぜ障害者の親なきあと問題において遺言が必要なのかについてご説明します。
そもそも遺言はなんのために作成するのか?
などの理由が一般的には考えられますが、特に親なきあと問題においては
判断能力が不十分な子がいたときに遺産分割協議がストップしてしまう可能性があることを注意する必要があります。
遺産分割協議とは亡くなった方(被相続人)が遺言を遺していなかった場合、その財産をどのように分けるかを遺された家族(相続人)が決めることを言います。
遺言がない場合はこの遺産分割協議によって財産を取得する者を決めます。
しかしこの遺産分割協議には要件があります。
遺産分割協議を成立させるにはこの二つの要件を満たしている必要があります。
とくにこのうち②の要件について、親なきあと問題において注意点になり得ます。
なぜなら遺産分割協議に参加する相続人の中に、知的障害・精神障害があって十分な判断能力を有していない方がいる場合、遺産分割協議が成立しない可能性があるからです。
また遺産分割協議の成立を証した「遺産分割協議書」には相続人全員が役所において登録をしている実印を押印し、かつ印鑑証明書を添付しなければならないので、役所においてそういった手続きができなければ、実際に手続きなどで使うことはできません。
基本的に、銀行等に亡くなった方の名義がある場合、その口座はキャッシュカード等で引き出すことができなくなります。これをいわゆる口座凍結と言います。
亡くなった方の名義の口座ひとつで生活費などを管理していた場合で、生命保険などを利用していなかった場合は、亡くなって間もなくの生活費や葬儀費用を捻出することができないこともあり得ます。(借金をせざるを得ないこともあります)
不動産の名義変更・売却の手続きも同様で、遺産分割協議を成立させ、遺産分割協議書に実印を押印し、印鑑証明書を添付しなければ、亡くなった方の不動産を売却することができません。
この時、相続人の中に判断能力が不十分な方がいることで、遺産分割協議が成立しないというような場合は、「成年後見制度」を利用する必要があります。判断能力が不十分な方の代わりに遺産分割協議をしてくれる成年後見人の選任を裁判所に申し立てます。
ただし、
などの理由から、できる限り成年後見制度を使いたくないという声も耳にします。
しかし、生前に財産を持っている方が対策をしておけば、遺産分割協議が成立しない事態や成年後見制度を不本意に使わなくてはならないという事態に備えることができます。
その対策として最も簡単な手段が「遺言書の作成」です。
適切な遺言を作成すれば、遺産分割協議を省略することができます。
これに関しては自身が手書きで作成する「自筆証書遺言」についても
公証役場で作成する「公正証書遺言」についても同じことが言えます。
ただし、遺言の内容次第では、結局遺産分割協議が必要になってしまう場合があります。
自筆で作成する場合でも、専門家に相談して作成すべきでしょう。
自筆証書遺言と公正証書遺言、どちらにすれば良いのかという問題についてです。ほとんどの専門家は「相続対策をするのであれば公正証書遺言にしておいた方が良い」という意見を持っているようです。しかし、この「障害者の親なきあと問題」については、必ずしも公正証書遺言で作成した方が良いとは限りません。自筆証書遺言と公正証書遺言のそれぞれの違いについてまとめます。
まず遺言をつかってできることは以下のとおりです。
自身の財産を死後どのようにしてほしいか。これが遺言の本質的機能であり、遺言者の想いに忠実につくることが遺言の最も重要な点です。後述にある相続人同士争ってほしくないということや、死後の相続手続きで苦労してほしくないということ②~④の機能も、ある意味ではこの「遺言者の想いの実現」に含まれているとも言えるでしょう。
遺言と聞くと、やはり遺産相続争いの予防を思い浮かべる方は多いかと思います。実際に遺言を作成する方の多くは、相続人間の不仲を心配して遺言書の作成に踏み出す、傾向にあります。
次によくある謡い文句ですが、揉めないと思っていて書類収集などの手続きを省略するリスクを解説します。
遺言がない場合、遺産分割協議を行いその結果を証した遺産分割協議書を作成し、金融機関・法務局などに提出するのですが、その前提として遺産分割協議に全ての相続人が、参加していることを証明するために、亡くなった方の生まれてから亡くなるまでの戸籍謄本などの書類を収集し提出する必要があります。
戸籍謄本に関しては、本人の転籍・婚姻・離婚そして法の改正などの事由がある度に戸籍は新しく作り直されるため、その戸籍を全て集めるためには、かなりの時間がかかります。
遠方の市区町村に戸籍を請求しなければならない場合もあり、数か月間要する場合もあります。遺言の作成方法によっては、この書類の収集等の手続きも省略できるため、相続人の負担をかなり減らすことができるでしょう。
前述のとおりですが、障害者の親なきあと問題の対策については、意思能力の不十分な相続人のために、遺産分割協議を省略できる遺言の作成は必要不可欠となります。
公正証書遺言については、専門家の助言のもと作成すれば①~④の全ての機能をほぼリスクなく利用できるのですが、自筆証書遺言については検討すべきリスクが発生します。
自筆証書遺言の特徴として、要件を満たして作成すれば、自宅で一人で作成することができます。
なお自筆証書遺言の要件は以下のとおりです。ただし、今後の相続法の改正により、緩和される予定がありますので、現時点での制度での要件を記載いたします。
自筆証書遺言の最大の長所は
・「手軽」につくることができる
・「安価」でつくることができる
この二つであると考えられます。公正証書遺言作成の場合は、公証人との日程調整や証人の確保などの手間がかかります。公証人手軽料もかかってきますので、作成の負担が大きいと言えるでしょう。この点、自筆証書遺言は、作成そのものには手数料もかからず、自宅で作成でき証人も不要です。
よって自筆証書遺言は、今後環境が変わる可能性が高い高齢者以外の方の遺言に向いています。障害者の親なきあと問題では、比較的年齢層の若い方々でも対策が必要となるため、自筆証書遺言での作成をご提案する場合もあり得ます。
しかし自筆証書遺言には短所がいくつかあります。
その短所について対策をする必要があるのであれば、公正証書遺言で作成すべきでしょう。ここから自筆証書遺言の短所を説明していきます。
遺言が本当に有効なものかどうか争う裁判例は数多く存在しています。筆跡鑑定や押印の印影によって、ある程度は判断されるものの、当時の意思能力の状況などの判断は非常に難しいです。
「認知症の父をだまして無理やり遺言を書かせたのではないか。」
などというような文句を言う相続人がいると争いになりかねません。
当然、裁判で争うこと自体が不経済なことですので、こういった争いが考えられるようであれば、自筆証書遺言での遺言作成は向いていないでしょう。
公正証書遺言で作成した場合でも、このような争いは絶対に起こり得ないとは言えないのですが、公証人と証人2人の立会のもと作成するので、自筆証書遺言よりは成立に疑義が生じることは少ないと言えるでしょう。
自筆証書遺言は作成した後、自身の手で管理をする必要がありますので、自宅のどこかなどに保管する必要があります。あまりにわかりづらいところですと、死後見つからない可能性もありえます。
反面、わかりやすいところに置いてしまい相続人の誰かが見つけてしまった際に、遺言の内容が自身にとって都合の悪い場合に、相続人がその遺言を隠してしまったり、燃やされてしまったりしてしまった例もあります。もちろんその行為自体も、刑法上罰せられる行為でありかつ相続権を失ってしまう行為なのですが、書いた本人が亡くなっている場合はそのまま明るみにならずに遺産分割が進んでしまっていることもあり得るでしょう。
使用する際に作成した本人が亡くなっている遺言の性質から、保管方法には気を遣う必要があります。保管方法の一例としては、財産を受け取る予定の相続人に保管してもらうという方法があります。それであれば、大切に保管してもらえますし、隠されたり処分されたりする可能性も低いでしょう。
この点、公正証書遺言であれば、遺言書の原本を公証役場で保管するため、遺言書の紛失・滅失の恐れはありません。
①、②についてまとめると、やはり相続人同士が不仲、または遺言者と相続人で不仲なものがいて、潜在的に争いになりうる場合は公正証書遺言で作成をするべきでしょう。
自筆証書遺言は、相続の発生後に「検認」という手続きを行う必要があります。検認とは、裁判所において亡くなった時点での遺言書の内容を保存する手続きのことを言います。この検認手続きは、遺産分割協議と同じように遺言者の生まれてから亡くなるまでの戸籍謄本等の書類を収集・提出する必要があり、かつ裁判所申し立て書類の作成や裁判所との期日の調整などの打ち合わせもあるため複雑かつ時間のかかる手続きとなっています。
相続後、ゆっくりと手続きを進めていける場合であれば良いのですが、相続人が遺言者の財産に生活を依存している場合などは、この検認手続きがあることで数か月間の間財産を引き出せず困ってしまうことがあります。また、相続人が自身で手続きを進めることができないような場合であれば検認手続きの依頼自体もうまく行かないこともあり得ます。
この点公正証書遺言の場合は、「検認」手続きは不要ですので、すぐに手続きを進めることができます。
まとめると相続人が死後の手続きを行うのが難しい・煩わしいという場合や、家族が遺言者の財産に依存して生活している場合などは、公正証書遺言で作成すると良いでしょう。
ここまでの通り、自筆証書遺言と公正証書遺言。それぞれの長所・短所を理解したうえで作成するべきでしょう。
この障害者の親なきあと問題においては、子が未成年であるような比較的若いご両親でも対策をする必要が出てきます。若いご両親の場合、これから遺言の内容が変わることも多分にあり得ますので、費用や手間のかかる公正証書遺言は不向きであることが多いです。もちろん、他の相続人との争いが考え得るときなどは公正証書遺言で作成するべき時もありますが、そうでないときは、無理をせずに自筆証書遺言で作成すべきでしょう。
生命保険契約・生命保険信託などを併用すれば、「検認」期間の生活費なども遺言に影響せずに捻出させることもできます。このように自筆証書遺言と他の制度を組み合わせることで十分な対策をとることもできるでしょう。
公正証書遺言を作成する場合、細かい内容は公証役場にて作成してもらえますが、そもそも誰にどのように遺すべきかという点については自身で考える必要があります。この点については法律家等の専門家に依頼すれば、アドバイスを受けながら作成することができます。
・印鑑証明書
・ご実印
・相続人との関係がわかる戸籍謄本
・相続人の住民票
・不動産がある場合は登記事項証明書・固定資産評価証明書
などを集める必要があります。専門家に依頼している場合は代わりにこれらの書類を収集してもらえるのですが、自身で用意する場合は、区役所・法務局・市税事務所などをまわって収集しましょう。
公証人との日程調整をします。公正証書遺言作成には、証人の立会いも必要なので証人の確保もする必要があります。この証人は、相続人とその家族関係者以外のものでなければならないので、なかなか証人の確保が難しいと言われています。この点についても専門家に依頼していれば、専門家に証人としての責務も依頼できますので、日程調整もあわせて専門家に任せることができるでしょう。
あらかじめ提出してある文案をもとに、証人の立会いのもと、遺言者が遺言の内容を後述し、公証人がその内容を確認していきます。その内容に間違いがなければ、遺言者と証人が押印し、遺言者が完成します。
専門家に依頼するかどうかで大きく手続きの負担が変わってくるので、費用と効果を比べて検討すべきでしょう。
遺言を作成する場合に、注意しなければならない点がこの「遺留分」についてです。
一般的な遺留分の意味と、障がい者の親なきあと問題で出てくる特有の遺留分の問題をご紹介します。
「遺留分ってなに?」
遺留分とは、簡単に言うと「遺産のうち、最低限これだけは家族に遺しておくべき」というように民法で定められた権利のことで、相続人の生活を守るための権利と言われています。
例えば、両親と子供の三人の家族で、父親の収入と財産のよって家族全員が生活をしている場合、父親が「全財産を宗教団体へ寄付する」というような遺言を書いたときに、残された母親と子供は生活がままならなくなってしまいます。
そのようにならないように、民法では下記のとおり、遺産に対しての最低限の権利を定めています。
配偶者(夫から見た妻・妻から見た夫)→遺産の4分の1
直系卑属(子や孫)→直系卑属全員合わせて遺産の4分の1
直系尊属(父母・祖父母)→配偶者がいれば、直系尊属全員合わせて遺産の6分の1。いなければ、直系尊属全員合わせて遺産の3分の1
兄弟姉妹が相続人なる場合もありますが、兄弟姉妹には遺留分はありません。
よくある質問のひとつです。全財産を〇〇にといった遺言も書くことは可能です。遺留分はあくまで、配偶者や子供に保証するための制度ですので、死後その請求をするかどうかは配偶者や子供たち次第ということになります。
例えば、若いうちに死期が来てしまい、子供がまだ若いうちに亡くなってしまいそうになり、まだ自身で財産を管理することが難しい子供たちの代わりに、全財産を配偶者に相続させるというようにした場合です。基本的には、子供たちが成人したあとについても含めて、子供から親に対して遺留分の請求をすることは珍しいのではないかと思われます。
よほど仲が悪いのであれば別ですが、いずれは親が亡くなったあとにそれらの財産は子供が相続することがほとんどです。わざわざ遺留分の請求をして争うということは珍しいのではないでしょうか。
相続が起こった際に、全財産を配偶者が相続することは、相続税の兼ね合いからもよくある分割方法なので、そこに関して遺留分を請求しようとする当事者は少ないように思えます。ただし、制度上は子から親への遺留分の請求も可能です。こればかりは親子間の関係性も影響するところなので、ケースバイケースと言えるでしょう。絶対に大丈夫ということは言えない部分です。
「仲の悪い相続人がいるので、できるだけ財産を渡さないようにしたい。遺留分を無視することはできないのか。」
これもよくある質問の一つです。
結論から言うと、遺留分を請求させないようにする遺言は難しいと言えるでしょう。遺留分はとても強い権利なので、仮に生前贈与をしていたとしても、亡くなる直前であったり、遺留分を害する前提で行われた贈与である場合は、やはりそれも遺留分の請求の対象になります。
生命保険契約や民事信託を利用すれば遺留分に対抗することができるという見解を持っている方もいますが、判例の中ではっきりと明示されている訳ではないので、当相談室としては前述のように遺留分請求を確実に回避するのは難しいという見解をとります。
ただし、遺留分を見越したうえでの遺言書作成は可能ですので、その例をいくつかご紹介しましょう。
遺留分の請求に対して避けられないのであれば、その分を生前に計算し、できるだけ財産の遺したくない相続人にその分だけ遺しておくという手段があります。何の対策にもなっていないと感じるかもしれませんが、これには大きな意味があります。
まず一つは守りたい財産を守ることができるということです。
たとえば、遺産の内訳が先祖代々受け継がれてきた「土地と建物」と、「預貯金」だったとしましょう。相続人は子供二人、長男と次男で、次男は家族全員と仲が悪いといった事例で考えていきましょう。
こういったときに、先祖代々受け継がれてきた土地と建物をどうしても長男に継がせたいというときに、次男の方に遺留分の分だけでも遺言の中で預貯金を遺しておけば、少なくとも土地と建物を長男に遺したとき、次男からその土地と建物に対しての遺留分の請求を受ける可能性を減らすことができます。
また、争いにかかる費用を減らすことができます。金額が納得できないなどの事情があれば別ですが、遺言の中で適正な遺留分をもらえていれば、遺留分に関して争いになることは少ないでしょう。この「遺留分争い」ですが、意外とお金がかかります。
遺留分の請求を行う際は、基本的に弁護士等の専門家に依頼する場合が多いです。この専門家費用についてですが、事務所によって報酬は違うものの、争いになっている遺産額に対して「割合」でかかってくるので、かなりの金額になり得ます。詳しくは適当な弁護士事務所・法律事務所のホームページなどで見てみましょう。
裁判になってしまえば、その割合に対する報酬が、訴える側と訴えられる側でそれぞれかかってきます。そうなると、気が付いたら双方合わせて遺産の半分以上に相当する額が裁判費用に使われてしまっていたというようなことも十分に考えられます。
そもそも遺言の中で遺留分争いにならないようにしておけば、この裁判費用や裁判にかかる費用や時間を節約できるので、大変意味のある対策と言えるでしょう。
遺言とは本来争いにならないように作成するものですので、争いを避けることを重視して遺言をつくるのは、遺言の本来の趣旨にあった対策であるのではないかと考えます。
こちらも取り得る対策の一つです。まず「遺留分」を請求する権利は以下のような「時効」が定められています。原則として、こちらの期間の間に請求しなければ遺留分を請求することはできません。
この期間、遺留分の請求を受けずに時効を主張すれば、遺言はそのまま財産を受け取った相続人のものになります。現在、TV番組などで相続の特集などが増えてきたものの、「遺留分」という言葉の認知度はまだまだ低いのではないかと思われます。遺留分を請求できることを知らないまま、1年が経過してしまうことも十分考えられます。
また、遺言者が亡くなってから10年という期間は、亡くなっていることを知っているかどうかを問わず進行するので、連絡をほとんど取らないような相続人であれば、知らぬ間に期間が経過してしまっていたということもあり得ます。
他にも「付言事項」という遺言の項目の中で、「遺留分の請求はしないでほしい」という旨の言葉を遺すことは可能です。残念ながら法的効力はないものの、人情に訴えかけることはできるでしょう。
いざとなれば請求されたときに相続人たちが考えれば良い、と開き直って遺留分を気にせず遺言をつくるようなパターンもあり得ます。
(1)・(2)と説明しましたが、最終的には遺言者がどうしたいかというところにつきるので、それぞれの状況を整理し、法的な情報をすべて整理したうえで、遺言者自身が判断するということが重要です。
個人的な意見としては、「遺留分争い」になってしまうと、お金だけではなく時間や労力も大きく奪われるので、相続人のことを考えるのであれば、余計な争いが起こらない方向で進めることも愛情のひとつなのではないかと考えます。
「遺留分」については、一般的な相続でも問題になるところ、相続人になり得る家族の中に知的障害・精神障害を持つ方がいて、意思能力が不十分な場合、気を付けるべき点があります。以下の事例でご説明しましょう。
そういった状況の中で遺言を作成するのですが、今回父親の考えるとおり次男のみに財産を相続するように作成する場合、懸念すべきは長男の遺留分についてです。
一般論として、意思能力が不十分な障害者に財産を遺しても、自身で使うことができないため無駄になってしまうという考えがあります。その考え自体は間違っているとは言えないのですが、ここでも遺留分への対策が必要になります。
この遺言による相続が起こった場合、長男は次男に対して遺留分を請求する権利を持ちます。長男は意思能力が不十分な状況で、かつ次男が管理する財産で生活をしていくことになるのにかかわらず、遺留分を請求するようなことがあるのかという疑問を持たれるかもしれません。ここでネックになってくるのは「成年後見人」の存在です。
遺言があれば、遺産分割協議を省略できるので成年後見人がつくことはないのではないかと考える方もいらっしゃるかもしれませんが、成年後見人がつくパターンはそれだけではありません。
本人の施設との入居契約の前提で成年後見人の選任を求められることや、本人が裁判で訴えられる、または裁判で訴えなければならないような事件に巻き込まれるなどの状況になったときは、成年後見人を付けざるを得ないこともあり得ます。もちろん本来の成年後見制度の趣旨のとおり、家族の支援を受けながらも、財産管理に限界が来たときも成年後見人の選任をすることもあるでしょう。
上記のような遺言し、次男が全財産を相続したあとに、長男に何らかの事情により成年後見人がついた場合についてです。このときポイントとなるのが、「長男の成年後見人が次男に対して遺留分の請求をする可能性がある」ということです。
通常、家族のひとりが全財産を相続したとしても、相続したものが家族全員の利益のためにその財産を使うのであれば、遺留分の請求などは起こりづらいというように考えます。
ただし、家族誰かにに成年後見人が選任される場合はそういう訳にはいきません。成年後見人は、本人の財産を守ることを第一に考えなければなりません。
今回の事例で言えば、長男の財産を守るために、成年後見人は本人が利用できる制度や請求できる権利があれば、長男の代わりに権利を行使する必要があります。
それは遺留分についても同様であると考えることができます。次男が長男のためにも財産を使っている前提があった場合でも、後見人が遺留分の請求をするべきかどうかについては、後見人自身も難しい判断をすることになりますが、現在の成年後見制度における成年後見人の義務を考えると、次男に対して遺留分の請求をすることもあり得るでしょう。
上記のような遺言を作成する場合は、ここに対して対策をする必要があります。
親なきあとの遺留分への対策も、通常の遺留分への対策を応用して対策をしていく必要があります。ただし通常の遺留分への対策と異なる点があるので、注意しましょう。
最も大きな注意点としては、遺言者が亡くなったあとでも、成年後見人が選任されるまでは、次男の遺留分の請求に関する時効が完成しないことです。
民法では「時効の停止」と呼ばれる規定があり、意思能力が不十分な者については成年後見人が選任されてから一定期間の間は事項が完成しないと定められています。よって、相続が起こった当時には何もなくとも、成年後見人が選任された段階で遺留分の問題が生じる場合があり得ます。
つまり時効が適用されない兼ね合いから、逃げ切るということよりもストレートに遺留分を遺してあげる対策をするべきであると考えられます。
今回の事例で言えば、次男に成年後見人がつくまで利用できないことを踏まえたうえで遺留分に相当する金額を遺言で遺すという方法や、生命保険契約・生命保険信託を利用し、次男と保険金の受取人とし、あらかじめ遺留分を請求されたときに備えた金銭を用意することも可能です。
ここまでのとおり、障害者の親なきあと問題については、遺言ひとつとっても奥深い対策が必要となってきます。
障害者の親なきあと問題の対策や、遺言書作成に関してご相談されたい方はこちらへお問い合わせください。
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]]>しかし、障害者が相続人となる場合の財産の遺し方には注意が必要で、相談室ファミリアで最も多い相談の一つです。
知的障害者・精神障害者の場合、とくに対策が必要なのは「相続財産の管理方法」です。
相続によって一度に多くの財産を手にしてしまうと、家計の管理がうまくできず浪費してしまい、浪費癖がついてしまったり、
悪意のある業者などにだましとられてしまうケースが多くみられます。
また、財産を引き継いだ障害者自身がいずれ亡くなった場合、親が遺した相続財産はすべて国のものになってしまうケースがあります。
(知的障害者・精神障害者が遺言を書くことができない状況で、かつ障害者自身に相続人がいない場合)
つまり、障害者が相続する財産については
・財産を管理しながら使っていくためにはどうするか
・信頼できる財産管理人はいるか
・障害者自身が亡くなったあとの財産をどうするか
を考えることが非常に大事になってきます。
これらの問題点を解決できる手段として
「信託」という制度・契約が注目されています。
「信託」には大きく2つあり、
①信頼できる「個人」に財産の管理と、その後の財産の流れを託す「民事信託」
②信頼できる「銀行」や「法人」に託す「信託銀行・信託会社」
があります。
これらの手段は比較的認知度が高く、いろいろな専門家が親なきあと対策の手段として提案しているのですが、下記のような理由により、実際に活用されているケースは少ないのが現状です。
・個人間で財産を託すことに対して、心理的ハードルの高さがある
・個人間であることから財産管理者の横領、死亡等のリスクがある
・契約締結に伴う専門家費用がかかる
・契約締結等の初期費用が高い
・信託財産の下限設定に引っかかってしまう
・信託銀行・信託会社の営業支店のエリアが限られている
これらの課題に対して、最近「生命保険信託」という新しい選択肢を利用する場合が多くみられます。
そもそも、障害者が障害年金等を計算に入れて、生活保護に頼らずに生活していく場合、入居施設によっては、十分な生活をするためには、数千万円の生活費用が必要と言われいます。
平均的な収入の家庭で、この金額を貯金するのは現実的ではありません。
そのため、生命保険契約を利用して、親なきあとに必要な金額を死亡保険金として子どもの遺す方がほとんどです。
ただし、その保険金がそのまま一括で支払われてしまうと、結局財産管理がうまくできません。
そこで活躍するのが「生命保険信託」です。
生命保険会社から子に支払われる保険金を、生命保険信託会社が管理し、生命保険信託会社を通して、子に分割して交付をすることができます。
つまり親が事前に生命保険信託会社と契約し、定めた金額や期間通りに、生命保険信託会社から子に支払うことができる、という仕組みです。
その支払い方は信託契約の中である程度自由に決めることができ、
「保険金の中から毎月10万円ずつ交付する。」
「20歳になるまでは毎月15万円ずつ交付し、20歳の誕生日に一括で残額を交付する。」
というような決め方もできます。
また、信託契約である性質から
「子が亡くなるまでは、月15万円ずつ交付し、子が亡くなったあとは〇〇施設へ全額寄付する。」
などの決め方もできますので、障害者の子が遺言を遺せない場合も国に財産をとられてしまうことはありません。
さらに民事信託や信託会社・信託銀行を利用する場合に比べて、手数料も格段に安く済みます。
この生命保険信託をうまく使えば、親なきあとの対策の幅は大きく広がります。
ただし、生命保険金以外の財産についても対策は必要なので、他の制度と組み合わせてスキームを組むべきでしょう。
障がいのある子供の財産について、月々必要な金額だけを渡す「分割交付」が有用である理由を説明します。
財産の管理を代わりに行う制度としては「成年後見制度」というものがあります。
この成年後見制度の主な役割のひとつに「分割交付」の機能があります。
成年後見人が毎月必要な分だけをお小遣い制のような形で渡し、お金の使い過ぎやだまし取られてしまうことを防いでいます。
ただし成年後見制度そのものについては難点も多く、利用に躊躇するご家族も多くいるようです。
その中で、この生命保険信託は、成年後見制度を利用せずに分割交付の役割を果たすことができるので、今後親なきあと問題の対策にどんどん使われていくことでしょう。
30代前半のご夫婦で、知的障がいのある子どもの年齢が5歳の3人のご家族。
ご相談の内容としては、当相談室の存在を知って少しでも今からできる対策をしたいということでご相談いただきました。
ご夫婦のご意向として、あまりお金のかかる対策を今からすることには抵抗があり、少ない予算でできる対策をとることにしました。
まずは、親なきあとのファイナンシャルプランから検討しました。
がグループホームに入った際に必要な費用・後見人の費用・日用品購入の費用等々から逆算し、月々必要な金額を割り出します。
その金額に対して、子供の現在の年齢から平均寿命を基準とした月数を乗じて生涯に必要な金額を割り出します。
数千万円以上の金額が必要になってくるので、生命保険以外で準備するのはなかなか難しいかもしれません。
その金額を実現できる生命保険を設計し、あわせて生命保険信託を設定します。
今回の事例では、年齢や収入を加味し、夫を保険者として設計し、最初の受取人を妻にして設計します。
これは障害のある子供を受取人にしていた場合、夫が亡くなったときに、子供の名義の口座に保険金が振り込まれてしまうと、妻が子供のためであっても自由な出費をすることができない可能性があるからです。
このときに、生命保険信託を利用することで、受取人について自由に変更をすることができます。生命保険信託の世界では、保険金を受け取る者のことを、「受益者」と表現するのですが、最初に保険金を受け取る「第一受益者」を妻に。妻が亡くなったあとに保険金を受け取る「第二受益者」を子供に設定します。
保険金に関しては毎月分割交付にし、毎月受け取る保険金については妻が生きている間は、毎月妻が保険金を受け取り、妻が亡くなったあとは毎月子供が保険金を受け取るというように設定します。また「第三受益者」についても念のために設定し、子供が亡くなった場合には、夫の甥が受取人となるように設定しました。
こうすることで将来子供に相続人がいない場合でも、保険金が国のものにならないので、より家族の思いに沿ったお金の使い方ができます。
もちろん分割交付を行うことで、本人の浪費や大金を持っていることによって犯罪に巻き込まれてしまうことを防ぐことができますし、また将来子どもに成年後見人・任意後見人が選任された場合にも管理の負担や横領の負担を減らすこともできます。
今回の事例では、生命保険信託の設定とあわせて、簡単な遺言をご夫婦ともに作成しました。
障害のある子どもがいるご夫婦の親なきあとで注意すべき点は、「遺産分割協議」を省略できるかどうかという点です。
遺産分割協議には契約に近い性質があるため、当事者に十分な判断能力が必要です。(民法では行為能力と言います。)
障害者本人がその遺産分割協議に参加するためには、裁判所で代理人を選定してもらう必要があり、場合によっては子供の一生の後見人がそこで決まってしまうこともあります。
つまりご夫婦の片方が不慮の事故で亡くなってしまった時点で、銀行の口座が止められてしまい、その口座の解約のために膨大な時間がかかることと後見人が限定されてしまう可能性があるということです。
しかし、実は簡単なことで防げます。自筆で良いので、下記のような簡単な遺言書をつくれば良いのです。
遺言書
私、遺言者である○○(生年月日)は、全財産を妻(夫)である××(生年月日))に相続させる。
平成 年 月 日
○○ 印
自筆なので、時間もかからず、10分少々でつくることができます。これだけで、遺産分割協議を省略できるので、不本意な成年後見人の選任を防ぐことができます。
この事例でも、上記のような簡単な遺言書を作成しました。
※上記の記載はあくまで記載例です。詳細な書き方については専門家に相談したほうが確実です。
もちろん、金融機関の対応によっては上記の簡易な遺言では対応してもらえない可能性があります。
事例のご夫婦も詳細な不動産の表示の記載、口座番号等の口座情報を記載したうえで、公正証書によって再作成する予定になっています。
こちらのページもご参考に。
この事例のように、生命保険信託と簡単な遺言を組み合わせることで、限られた予算でも十分な対策をとることができます。
そういった対策でも、残される子供にとっては大きな利益となるでしょう。
親なきあと問題の対策について何を始めたらよいかわからないという方も、生命保険信託の利用の検討から始めてみてはいかがでしょうか。
司法書士 渡邉護
生命保険信託についてのご相談についてのお問い合わせはこちらへ。
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]]>障害者の親なきあと問題に関する個別相談会を開催します。
開催場所はカフェイースト4
(札幌市中央区大通東4丁目4番44)
こちらの4階の403号室です
(駐車場あり)
下記のいずれかの時間帯を選んでお申込みください。同じ時間帯は一組までしかご対応できかねますので、第1希望から第3希望までいただければ幸いです。
記
時間帯A【 9:00 ~ 9:45】
時間帯B【10:00 ~ 10:45】
時間帯C【11:00 ~ 11:45】
時間帯D【12:00 ~ 12:45】
時間帯E【13:00 ~ 13:45】
時間帯F【14:00 ~ 14:45】
時間帯G【15:00 ~ 15:45】
時間帯H【16:00 ~ 16:45】
以上
お申し込みは、当ホームページのお問合せフォームをご利用いただくか、
こちらのTEL、FAX、メールアドレスなどでお名前とご連絡先とご相談希望時間帯をお知らせください。
TEL :011-558-9544
FAX :011-873-7121
MAIL:info@oyanakiato-familiar.com
※対応する専門家とご相談内容によっては、その場で即答できない場合や他の専門家との協議が必要になる場合がございます。
そういった場合は、ご相談の詳細を持ち帰り、ファミリア内で慎重に協議したうえで再度ご連絡をして回答をさせていただくなどのご対応をいたします。予めご了承ください。
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