障害者の雇用問題 ①

障害者の親なきあと問題には大きく分けて二つのアプローチがあります。
ひとつは親なきあと、障害者が仕組みやお金に守ってもらえる状態をつくること。
そしてもうひとつは、障害者自身が自立すること。

障害年金だけでは、生活費が足りなくなってしまうことがほとんどです。
そこで親が足りない分のお金を遺すことが、障害者が守ってもらえる仕組みをつくるということの一つの手段であることに対し、障害者自身が「働きやすい環境」をつくることで「自立」してもらうこともひとつの親なきあと問題の対策となり得ます。

「働く」ということとは

障害者の多くは、障害年金と生活保護を組み合わせて生活しています。その中で、そういった現状を障害者自身が望んでいるかというと、そうではないようです。
働くということは、当然お金を稼ぎ生計を立てるために行うことでもありますが、それ以外にも働くということ自体で社会の中で自身の役割を見出し、働きを生きがいとし自己実現をするという目的も果たすことにもなります。それは障害者でも例外ではありません。むしろ障害者であるからこそ、自身の才能を生かし社会に貢献したいと望んでいる人も少なくはありません。

しかし、実際に働いてみると、現実の労働環境は障害者にとって好ましい状況ではないことがほとんどです。それは、労働環境側の障害者の受け入れ体制が不十分であり、特に同僚や上司の障害者に対する理解と知識が浅いことに起因します。

相談室ファミリアに相談された某企業のお話

某企業事務総務経理部門 部長からの問い合わせ

某企業で雇用した障害者のAさんのお話
入社した直後、Aさん自身の仕事の出来具合には何の問題点もなく順調に仕事をこなしていた。むしろAさんは細かい事務作業でも集中して長時間行うことができるので、部門としての業績に大きく貢献していた。
しかし、問題となったのは一緒に勤務する同じ職場の社員と折り合いが合わなくなってしまったことである。同僚の社員はAさんの行動に対して、逐一部長に不満を漏らしていた。具体的には細かい部分だと、Aさんの独り言が気が散るなどということや、仕事に関わるというところでは、Aさんは一つの仕事をこなすことには問題がないのだが、その作業中に次の仕事のお願いをすると、混乱してしまい業務が止まってしまうことがあって困るというような内容だった。

部長が社員と障害者を交えて面談してみるがうまくいかず、社員のイライラした態度にストレスを感じたのか、Aさんの欠勤が続いてしまった。
部長はまず行政に問い合わせ、相談員にAさんの家庭まで訪問してもらったが、結局問題が解決することはなかった。

そういった中、当相談室に相談に来ていただいたのですが、相談員はその部長に質問をしました。

「御社はAさんのことをどれだけ理解していましたか?」

あなたは、Aさんの置かれている状況、考え方、気持ちを理解していましたか?
どういった経緯でここに入社してきたのか、どんな障害をもっているのか、その人の特性を理解した上で一緒に働いていましたか?

これらの質問をしてみると、部長も自身が全くAさんのことを理解していなかったこと、また理解しようともしていなかったことに気づいたのです。それどころか、社員を交えた面談の際も、Aさんに問題があることを前提にし、それをどのように「Aさんに」直させるかということにしか考えが及んでいなかったということでした。

これが、現状です。

企業に倫理を、職場に心を。

障害者雇用に限ったことではないのですが、企業に倫理観が欠けているために、社員ひとりひとりの個性を生かせずに、職場の既存のルールや上下関係を押しつけ才能を潰してしまうことは、日本の大きな社会問題であると考えます。

企業は一部を変えようとするのではなく、全体を見なければなりません。障害者に問題があると決めつけてしまう前に、企業の在り方や体制に改善点があるのではないかと考えるべきではないでしょうか。

人間関係の基本である「他人を変えようとする前に自分が変わるべきであること」に気づくことが障害者雇用の第一歩であると考えます。

ファミリア村岡

コメント

  1. この記事へのコメントはありません。

  1. この記事へのトラックバックはありません。

まずはお気軽にご相談ください。

無料相談